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#45　生きるために



　王女と別れ、再び城下町にやって来た。
　もう暗くなりかかっている町は、人も減ってきている。
「これじゃあまた宿屋ね。ジートに連絡入れないと」
「おー……。て、ジートどこにいるんだ?」
　そういえば、見ていない。
　てっきりトレーネに帰ったのかと思ってたが……
「あぁ、外よ。多分スクロでも貯めてるんじゃないかなー」
「?　スクロって?」
「円みたいなものよ。ドルとかね」
　つまり金の単位ってことね。
　ていうか、どうやって稼ぐんだ……?
『モンスター狩りだよ』
　ふと、耳に声が響いた。
「……草花」
〈あ、わかった?　最近出てきてなかったからさー〉
「で、俺にその事だけ言いに来たわけ?」
　不機嫌な気持ちを出来るだけ抑えながら、聞く。
〈いや。……ミズキさ、ずっとモンスターも殺さないでいるつもり?〉
「当たり前だろ。モンスターだって生きて——」

「無理ね。そんな綺麗事」

　次に聞こえたのは、聞き慣れた響く声。
「ルーナ……?」
「……私だって、殺したくない。同じ生き物なのに、なんで殺さなきゃいけないんだろうって、思ってた」
　思ってたって……
「じゃあなんで——」
「これは仕方がないの！　私達人間は、生きるために食べる。食べる為に生き物を殺す。それと同じよ!!　殺さなきゃ、殺される。生きるための、たった一つの手段なのよ！」
　全ては、『生きるため』。
　じゃあ、何故モンスター達は生きられない?
　俺達は生きていられるのに、なんでモンスター達は……っ！

「——ごめんなさい」

　ルーナのその小さな呟きは、空へと消えた。