コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 晴天の空【オリキャラ等々募集中!】 ( No.98 )
日時: 2015/03/18 18:49
名前: レム* (ID: sSv6cHIH)

#46 地球へと



「地球に行ける!?」
 じゃじゃ馬姫事件から1週間。
 もうとっくに長期休みなど終わっている。
 そんな中、ルーナから地球に行けるという報告を受けた。
「うん。アリアの張ってた結界が解けたの。二重魔法だったから手間かかっちゃって」
 やっと……地球に……っ!

「……ミズキも、来るんでしょう?」
「あぁ!!」
「絶対に、バレないようにして。本当に、危ないの」
「わかってる」
 死んだはずの俺が地球にいることは本当はいけない。
 だが、ルーナの魔法で姿を変え、還ることができる。
 例え自分の姿じゃなくても、行けるのなら……
「……ミズキの知り合いの所、回ってみる?」
「いいのか!?」
「ミズキが下手なこと喋らないならね」
「……おう」
 地味に心配だ……

「出発は明後日。それまでに準備しておいて。二泊だから」
「おー」
 やっと会えるのか……
 彼奴らに。
 賑やかで、うるさくて、そんでもって、温かいクラスメート達。
 今は、どうしてるだろうか。

Re: 晴天の空【オリキャラ等々募集中!】 ( No.99 )
日時: 2015/03/18 21:33
名前: レム* (ID: sSv6cHIH)

#47 欺き



 そして、出発当日。
「ここが峠よ。ミズキと会ったのもここだったよね」
 リュックを持つ俺と、手ぶらのルーナ。
「ていうか、なんでルーナは手ぶらなんだよ?」
「んー? だって向こうに荷物置いてあるしね」
 ズルいわー……
 ……まぁ、そこまで重いわけでもないからいいけどな。
「これから、空間魔法で地球にとばすわ。ちょっと慣れないかもだけど、頑張れ」
 え、ちょっ、他人事みたいに……

「我と異世界地球を繋げよ。異空間は全て我の力となりて、橋と化せ」

 ルーナが唱えると、フッと辺りが暗くなった。
 ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる。
 ジェットコースターが回り続ける様な感覚に襲われる。
 うげ、気持ち悪……っ。



「……大丈夫?」
 目が覚めればそこは、いつか見ていた世界で。
 太陽は一つ。
 ——あぁ、還ってきたんだ……
「おう。超気持ち悪いけどな。……って、あれ。髪黒くね?」
「欺き魔法使ったの。ミズキにもかけておいたわ」
「え? あぁ、サンキュ?」
「24時間持つはずよ。きれる前に帰ってくる予定だかた、大丈夫だとは思うけどね」
 24時間って、コンビニかよ……
「……会えるんだろ、母さん達に」
「うん。会える」

 また、会えるんだ。
 ただ俺の言う『また』で、母さん達が笑っていられるのだろうか。

Re: 晴天の空【オリキャラ等々募集中!】 ( No.100 )
日時: 2015/03/20 12:08
名前: レム* (ID: sSv6cHIH)

#48 お兄ちゃん



 先週、お兄ちゃんの葬儀が行われた。
 ——死体が、無いのに。

 そう、あの日。
 春の澄んだ青空に、真っ赤な太陽。
 私のお兄ちゃん——相良瑞希は、猫を助けて車に轢かれた。
 そして、現場を見ていた人は、口々にこう言う。
「気を失ったと思ったら、段々と消えてしまった」
 ……と。

 人が消える?
 あり得るものか。
 この世界で人が消えるだなんて、そんなこと……

 ——そして私は今日も、ビラを配りに家を出る。

「知夏? 貴方、また行くの?」
 玄関にお母さんがやって来る。
 お兄ちゃんが消えた日から、無駄に頑張って、やつれている気がする。
「当たり前でしょ? お兄ちゃんは、絶対に生きてる。お母さんは、そう思わないの?」
「そりゃあ、生きていたら、嬉しいわよ。でもね——」
「だったら……生きてる可能性が、1%に満たなくても!! 0%じゃないのなら、私は……私はっ! お兄ちゃんを、探し続ける」
 真っ直ぐお母さんを見据える。
 ……と、少し笑ってる様に見えた。
 きょとんと、首を傾げてみる。
 すると、お母さんはこう言った。
「ふふ……わかったわ。でも、無理はしないで。お母さん、知夏の好きなシチュー用意してるわ」
「ホント!?」
「えぇ」
「やった!」
 我が家に、久しぶりに笑顔がやって来た。

 ——絶対に、お兄ちゃんを見つける。
 だってお兄ちゃんは、私のヒーローだもの。

Re: 晴天の空【オリキャラ等々募集中!】 ( No.101 )
日時: 2015/03/26 09:42
名前: レム* (ID: sSv6cHIH)

#49 妹



「初めはどこ行く?」
 俺と、鈴原紫苑——ルーナが通っていた、緑山高校付属中学校にやって来た。
 もう俺達の同期は、高校に入学している。
「やっぱ、知夏と母さんだな」
「知夏? ……あ、妹?」
「そ。2コ下の中2——あ、もう中3か?」
 昔からブラコン気質があって、「お兄ちゃん」ってうるさかったっけ。
「……じゃ、行こうか?」
「おう」
 元気にしてるだろうか。



「この人知りませんか? ……そうですか……」
 駅前。
 一人の女の子がビラを配っていた。
「……知夏?」
 小さく、少し驚いた様な声が瑞希からした。
「あの子が知夏ちゃん? ……まさか……っ!?」
 まさか思いながらも駆け寄ってみる。
「あっ、この人知ってますか!?」
 そう言って渡されたのは、瑞希の顔写真の貼ってあるチラシ。

 ——やっぱり、か。

「……知ってるよ。私は瑞希の通ってた中学の生徒会長でね」
「本当ですか!?」
「でも今どこにいるかはわからないの。ただ、私は生きていると思うわ」
 笑いかけ、言うと、知夏ちゃんは目を輝かせた。
「私もそう思うんです……!!」
「そっか。……名前は?」
「相良知夏です! お兄ちゃんとは違う学校なんですが……」
 少し俯いて言う。
「頑張って。私も見つけたらまたここに来るわ」
「はいっ」
 知夏ちゃんは笑うと、走って行ってしまった。

 ——世界は残酷だ。