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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 哀昧喪糊。−あいまいもこ− ( No.1 )
- 日時: 2015/02/17 21:40
- 名前: めろんそーだ (ID: rLJ4eDXw)
彼女はいつも一人だった。
人を寄り付けない_____人が寄り付かない。
まるで誰も彼女に気付いていないように、誰も話し掛けていなかった。
いじめを受けているわけでもなく、儚げな存在だと思った。
「来栖さん」
「_______え?」
彼女は驚いたように瞬きをして、こちらをじっと見つめる。
俺はその大きな瞳を真っ直ぐ見ていた。
話すことすら見つからないから。
触れたら消えてしまいそうだったから。
ふわん。
瞬きをした目を開けると、
彼女は……笑っていた。
静寂。
教室に注ぐ日射しに照らされた笑顔は、とても綺麗で。
それでいて、とても儚くて。
それは余りにも眩しすぎて、俺は目を細めた。
ああ、なんで誰とも話さないんだろう。
きっと、友達が沢山できるような性格なのに、勿体無いよ。
でも、話し掛けたのは俺が初めてかも知れないな。
そんな淡い期待を胸にしながら、精一杯の笑みを彼女に返した。
そして、小さく一言。このままでは何も話さずに終わってしまう。
それでは流石に寂しすぎるし、俺はもっと彼女に近付きたかった。
「…………え、えっと……来栖…萌湖さんだよね」
彼女はゆっくりと、笑顔のまま頷いた。
「……来栖さん、って呼んでもいいかな」
「………ありがとう」
それだけ言って、またあったかい笑みを俺に向けてくれるのだった。
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