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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 哀昧喪糊。−あいまいもこ− ( No.3 )
- 日時: 2015/02/22 21:56
- 名前: めろんそーだ (ID: DTQ3vDnC)
昼休み。
思い切って、彼女に話し掛けた。
「く、来栖さんっ」
「どうしたの?…桜庭くん」
うわ、初めて呼ばれた……。
何故か凄く緊張する。俺は平然を装って、彼女に笑いかけた。
「あのさ、俺の友達……汐っているじゃん?」
こくり、と来栖さんは頷く。
あぁ、やっぱり可愛いなぁ………。
つい見とれてしまうのも、きっと誰だってわかってくれると思う。
穏やかな笑みがとても綺麗だった。
「汐とさ、お友達にならないかなーって」
俺がそう言うと、彼女は小さく目を瞬かせる。
_____そんなに、友達が珍しいのかな。
少し悲しい気分になるけど、俺がそんな気持ちになっていたら駄目だ。思いは伝わるっていうし。……以心伝心、だったか?
………いやいや、今はそんなことはどうでもいいのだ。
俺は期待を込めた目で、彼女を見つめた。
すると彼女は悲しそうな表情で。
暗く、翳りのある表情で口を開いた。
「………ごめんなさい………。
私は…………だから」
途中、風の音に掻き消された声。
何かと聞こうとしたが、タイミング悪く鈴の音のチャイムが鳴ってしまった。
………また、いつか聞いてみよう。
「じゃあ、来栖さん。また___」
「うん。…いつもありがとう、ごめんね」
謝ることなんてないのに、彼女はとても申し訳なさそうな顔をして、その小さな手を遠慮がちに振って謝るのだった。
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