ねえ 知っていた?——プロローグ——苦い記憶と人生の闇の真ん中に溺れていた。海の中に溺れていた。何時しか過去を好きになって。未来を見ているより ずっと現実味を帯びた瞳を持った。何時しか、光を拒むようになった。明日よりも 今日を考える。掴みどころのない、希望や望みや夢に、失望した。闇の中に零れ散った、自分の甘さや汚さ暗闇のどん底ひとり孤独一人。寂しい。淋しい。虚しい。カイホウしてよ。この苦しみから。カイホウ。早くカイホウ。