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第一章　「星屑(スターダスト」


*零話　練習曲エチュード




「……？！」


目ざとく、見つけたのだ。


わたしは、水しぶきが立つ　碧い液体の中に、吸い込むように入って行った。

波に流されて、身体が揺れる感覚があった。


息が苦しくなってきた。


浮かぼうかと悩んだが、体を揺らすだけの体力もなかった。




青く黒闇に染まる水の底に　沈んでいく少女を見つけた。


——ほら、早く。



わたしは、その子を抱き上げるとゆっくりと上に上がろうともがいた。


誰にも見つからない静かな時間だった。





その時間は一刻と進むのに　現状は変わらない。




水中で、わたしの腕に誰かの足が当たる。




苦しい。

苦しい。

———苦しい。


その瞬間に　ショパンのエチュードが聞こえてきた。


優しい音だった。


その音色が　淡い記憶を呼び覚ます。



混沌の中に眠る

今に、淡い、寂しさを感じる



そこに、光が射した。

痛いほど


眩しいほど

明るく、その双眸は、


——大空や果てしない世界のように、暖かく見下ろしていた。




それは、蜃気楼のように、海へ溺れて行った。

瞳を開けると、轟くフラッシュバック


不鮮明に甦る、黒闇の記憶。


——記憶の一部が抜け落ちている。


どこか大切なところを。


忘れたのかもしれない。


眠れば思い出すだろう。



******

目が覚めると、白い天井、アルコールの匂いと、ある場所を思い出させる光景が広がっていた。