コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 石碑の謎解き 〜読めない魔法文字②〜 ( No.40 )
- 日時: 2015/06/20 21:00
- 名前: 詩織 (ID: TtFtbd5q)
顔を寄せ合って、シルファの広げたノートを覗き込む3人。
「えっと、この並んでる図形・・みたいのが、その魔法文字っていうの?」
ラヴィンが聞くと、シルファは大きく頷いた。
シルファが差し出したノートには、ラヴィンたちが見たことのない図形が並べられており、そのうちいくつかには、図形の下に彼らの見知った言語での読み方が振られている。
読み方の振りのないものは、今はまだ読み方の分からないものだという。
その他にも、いくつかの注釈が綺麗に書き揃えられている、いかにもマメなシルファらしいノートだった。
「この文字、かなり昔の、それこそ古代って呼ばれてるような時代の魔法文字でね。今も全部解明されているわけじゃないんだって。ここに26文字書いてあるでしょ?」
シルファが指差した先には、並んだ図形・・魔法文字。数えてみると、確かに26個あった。
今分かっているのがこれだけってことで、ほんとはこれで全部じゃないんだけどね。
そう付け加えて、シルファは話を続けた。
「この文字のひとつが、ひとつの音を表していて。つまり、いくつかの文字を組み合わせることで、言葉としての意味を持つ言語みたいだよ。」
シルファは出来るだけゆっくり説明してみたけれど、イマイチぴんとこないような顔の3人に、例えば、と視線を巡らせる。
「りんごって言う時はさ、『り』と『ん』と『ご』のみっつ文字がいるとするでしょ?そんな感じ。」
言いながら、ノートの文字を指差した。
「ああ、そういうこと!」
なるほど!と声が上がる。
3人とも理解したようだ。
「この文字ひとつで何かを意味を表すタイプじゃなくて、音の表記を組み合わせていくタイプなのね。」
「そうそう!」
嬉しそうにシルファが笑った。
「でさ、ジェンの資料の石碑ってさ、ひとつの文字しか書いてなかったじゃない?」
「うん。・・あれ?」
そこでふと気づいたように、ラヴィンが首を捻った。
「そしたら、あれってどんな意味になるの?」
「あれだけじゃ意味を成さないってこと?」
ほぼ同時に発せられた少女2人からの疑問に、シルファの瞳が面白そうに細められた。
待ってましたと言わんばかりの顔だ。
「・・もしかして、」
それまで黙って聞いていたジェンがゆっくりと口を開いた。
「村の付近にバラバラに立てられてる石碑を繋ぐと、ひとつの文章になるって言いたいのか?・・そういえば、『村が魔法をかけられてる』って言ったよな・・。」
「この石碑が、ただの宗教的なものじゃなくって、魔法をかける道具になってるってこと?ひとつじゃなくて、ぜーんぶ繋げて使うような、大きな魔法の?!」
ラヴィンの声に、3人が一斉にシルファを見た。
その視線を受けて。
シルファはニカっと笑うと得意げに頷いた。
「当たり!僕と姉上はそう考えてる。ねぇ、村の石碑を調べてどうだった?彫られていた文字は、全部違うものだったんじゃないの?」
疑問形で問うてはいるが、確信を持った口調で言った。
シルファの問いに、3人は顔を見合わせる。
そして、
「そうだ。村の付近、全部で10箇所。すべて違う文字が彫られてたよ。」
ジェンの言葉に合わせて、3人同時に頷いた。