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第12章 『魔女の棲む山』 〜森の中の急襲〜 ( No.75 )
日時: 2015/10/08 20:49
名前: 詩織 (ID: r5VGwxxq)

「よく気づいたな。」
がさりと茂みを揺らし、2人の正面側から男が姿を現した。
それが合図のように木の陰や草むらから、がさがさと音を立て、幾人もの男たちが現れる。

「こんなところにいやがったのか。探したぜ。」

怒りを押し殺したような、低い声が響く。
その目は2人をきつく睨みつけていた。
他の男たちも同様だ。

「何のことですか?僕たちに何か用でも?」
構えの姿勢をとったまま、シルファは静かに問う。

シルファのその問いに男はカッと目を見開くと、持っていた棒のようなものを地面に叩きつけた。

「用だと?!ふざけんじゃねぇ!俺たちの荷物はどこだ!さっさと返しやがれ!」
「?荷物?何言って・・。」
「うるせぇ!ここまできてしらばっくれる気か!あんだけ痛めつけられて、こっちがその銀の髪、見忘れるワケねーだろ!」

シルファの言葉を遮って、別の男が叫んだ。
周りの男たちも皆、一様に殺気立っている。

(どういうことだ・・?)

シルファは眉をひそめる。
荷物?返す?
そう言われても、まったく身に覚えがない。
けれど、男たちの殺気は本物だ。
ギリギリと歯ぎしりの音が聞こえてきそうな顔で、睨みつける目は血走っている。

(銀の髪って・・。)

隣に目をやると、ラヴィンも同じように困惑した顔でこちらを見ている。
シルファは視線を前方の男に向けなおすと、再び口を開いた。

「人違いではないですか。僕たちはただの旅人で、言われていることに全く身に覚えがありません。落ち着いて話を・・」
「まだ言うかっ!」

男が叫び、武器を構えた。

——— 構えながら。
ふ、っと視線が動いたのを、ラヴィンは見逃さなかった。


「ハッ!」
素早く体を翻すと、同時に、大きく右足で蹴り上げる。
後ろ側の木の陰から音もなく飛びかかってきた男たちのうち、1人の胸辺りに命中し、男は呻いてうずくまった。
そのままもう1人の腕を捕まえて、勢いのままひねり上げると、男は悲鳴を上げて地面に膝をつく。

「ラヴィンっ?!」
「平気!シルファ、前見てっ。」

ラヴィンの身軽さに虚をつかれた男たちだったが、怒りが頂点に達したのか、それともヤケでも起こしたのか。
1人が「うおぉぉ!」と叫んで手にした武器を振り上げると、他の男たちも皆何かを叫びながら一斉に2人めがけて襲いかかった。

「あいつらを捕まえろ!積み荷を取り返せ!!」

怒号が飛び交う。

「っくっ!」
倒した2人を放り出して、ラヴィンが男たちを迎え撃とうと構えた時。
ぐっと腕を掴まれ、後ろに引っ張られた。
「わわっ。」
「下がって!」
シルファは自分の後ろ手にラヴィンを庇うと、もう片方の手を大きく振り上げた。