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- ぼくのかんがえたさいきょうの、ちゅーにびょー(ぼく中二病) ( No.12 )
- 日時: 2015/03/13 18:51
- 名前: ヒトデナシS ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
【6】
「————『Ability Time 【アビリティ タイム】』。王の謁見だ。控えろ」
ズンッ、という鈍い音と感覚が『部屋そのもの』を包む……。
まるでその部屋だけが別空間であるような感覚。『重くなっている』。
貞道の『中二病』、重力。
その部屋にいる誰もがその重力に逆らえず、ひれ伏す。『二人を除いて』。
「貞道……!! みか……味方まで…巻き込んでどうする…!!」
龍同先輩は重くなった身体を支えながら、言葉を絞り出す。
そう、見境なしの『中二病』の使用で本来味方である僕達も縛っている。
その言葉など知った事かと言わんばかりに、貞道は仁王立ちしたまま笑う。
「なに、ようは勝てばいいのだろう? なら、我一人の力で勝っても問題あるまい。」
「……くッ……詰めが甘かった……か……」
龍同先輩は予期していたみたいだが、それでも最悪のタイミングらしい。深刻そうな表情だ。
貞道はさも当然の如く良い放つ。よくもまぁこんなジャイアニズムがいたものだ。
「ふ……えぇぇ…ふ……えぇ……」
心なしか絵美の『ふえぇ』も辛そうだ。僕はとりあえず手を握ってあげる事にする。
とはいってもこの状況はあまりにひどい個人プレーだ。
いや、元々ここにチームプレイなど存在しないに等しいが、それでもあんまりだと思う。
せめて味方を解放して、教員だけを縛って交渉の道具に使った方が利口だと思う。
正直現状こちらにとって良い状況下にある。これで貞道を説得して上手く動かせば、
これ以上このよく分からないカオスな戦争を終わらせることが出来るかもしれない。
————それは僕にしかできない、僕だけの戦いだと思う……。
…………あれ、僕っていつの間に定期試験撲滅戦争にこんなに乗り気になったんだろ?
まぁそれはさておき————
「貞道。あのね、これだと本末転倒だし、どうせやるなら教員達だけを軽く縛って————」
————と、その後の言葉を紡ごうとした瞬間、職員室の天井が崩壊した。
否、全てが、ではなく、『貞道のいる場所』だけである。
貞道の頭上から多くの椅子やら机やらが降ってくる。
どうやら職員室上の教室にあるものらしい。(ちなみに、職員室は本館の2階にある。全体では4階ある。)
————とはいえ、この状況では貞道がマズイ。多分死ぬ。なぜなら、
今この部屋そのものは貞道の重力が働いて、全てのモノが重くなる。
干渉を受けない例外は、貞道と『もう一人』のみ。つまり、
「さだはるー。野球しようぜー。お前どうせ死ぬしモブキャラでいいよねー?」
「ぬわあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
頭上から重力の干渉を受けて落ちてきたのは、机と椅子とさっきまでいたはずの焔だった。
部屋に入った瞬間全ての机と椅子は重力の力で重くなり、通常よりも凶器性が増す。
それも通常の何倍の重さの椅子と机。感覚で言えば、上から何台もトラックに潰されているような感覚。
それをじかに受けた貞道は血だらけになって死んだ。いや、もう文句なし。オーバーキル。
瞬間、重力の空間は通常の空間に戻る。貞道が死んだおかげだ。
上から落ちてきた焔は机に下敷きになる貞道を見て、まるで貞道の母親の様な慈愛に満ちた表情をしていた。
そんな自分の息子を殺して慈愛に満ちる母親がいてたまるか。
物音が収まった後、一同唖然としていた。それはそうだ。
そしてふう、と仕事をやり遂げたといったように一息ついて、
「よっし、これで裏ボスのさだはる死んだし、ミッションクリアじゃね?」
「「なんで味方殺してんだあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」」
僕達も教員も総ツッコミで焔に言うが、すぐにハッとなる。今一度両者向かい合う。
撃退数4(内1人は味方)の炎の死神のせいで、止まっていた戦争がまた始まった……。