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Re: 【ぼく中二病】 タイトルが長すぎるためカットッ!! ( No.17 )
日時: 2015/03/18 14:06
名前: ヒトデナシS ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)

       【第二病 授業中はひまー】



 ————定期試験撲滅戦争から数時間後、昼休みが終わり、5時間目がスタートした。


 まるで職員室の戦争は何もなかったかのように終わり、そして今授業が始まっている。
 ちなみに名誉の死(焔に殺されたのだが)を遂げた王貞道も、
 今は当然の様に生き返り、今同じ教室で授業を受けている。

 今回はどうやら、1年生2年生合同の授業らしい。
 なので本来はいないはずの二年生の龍同先輩の姿も見える。
 いつもと違い、新鮮と言えば新鮮の授業形式かもしれない。


 ————今更な感があるが、『黒田 梨』は一年生である。

 しかも今は5月。ここ【夢見高校】に入学してまだたったの1ヶ月足らず。
 クラスの半分以上の名前すらまだ覚えきれていない状態だというのに、
 まるでもう一年はこの学校で過ごしてきたかのような気分だ。

 それもこれも、主にあの龍同先輩率いる『中二病団』のせいだが。


 「…………。」


 僕は無言でノートを取っていた。授業内容は保健体育の身体の仕組みの話だ。

 そうしてカリカリとシャーペンを走らせていると、ふと一枚の紙が転がってきた。


 「……?」


 最初は風で飛んできたのかと思ったが違った。どうやら隣から回ってきたらしい。
 チラリと視線を移すと、赤髪が特徴的な僕の幼馴染、焔がピースをしてこちらに合図を送っている。

 僕は恐る恐る紙を手に取り、中身を確認する事にする。そこには、


 『ひまー。』


 と、書かれていた。僕はササッと書いて隣に回す。
 そしてここから、メッセージの回しあいが始まる事になる……。


 『授業真面目に受けなよ、焔。』

 『退屈じゃないこの授業? 今更感あるしさー』

 『それでも復習しておかないとテストに響くよ』

 『えー』

 『ほら、集中集中。』


 それ以降、手紙が途切れた。どうやら真面目に受ける気になったのか。
 僕も前の黒板に書いてある事を確認しつつ、別のメモを作ろうと思った時、また一枚の紙が来た。そこに、


 『さだはるにちゅーもく』


 と書かれていた。さだはるとは、王貞道の事だ。逆立った金髪がクラスでも浮いている。
 今も手を組んでふんぞり返って瞑想をしている。
 寝ているのか、それともただ興味がなく目蓋を閉じているのかは分からない。


 「……どゆこと……?」


 手紙の意味を理解しかねているその時だった……————



 バンッ!!!!!!!!!!


 という爆発音とともに、貞道の椅子を支える4本の足が一気にはじけ飛んだ……!!



 「のわあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」



 そのままの姿勢のまま貞道の尻がストーンと綺麗に落ちていき、貞道の目線が一気に低くなる。
 4本の足を失くした椅子はまるで家に置く様な一人用のもたれ掛かるソファの様な感じになっている。

 その光景を見て、一同は驚いた後、クスクスと笑いだした。確かにかなりシュールだ。


 「……おい王、何があった?」


 保健体育を担当する斉藤先生はシュールな光景で座る貞道を首を傾げて見る。
 貞道は放心状態から回復すると、一度椅子の座り心地を確認し、満足そうに、


 「……気にするな。そろそろ椅子の座り心地を改良しようとしただけのことよ、うむ。」


 と、強がって見せた。正直、彼はマジで大物だと思う。うん。


 『うけるwwwwwww ストーーーンって落ちたwwwwwwww』


 ……焔の仕掛けた事らしい。表情がもう悪魔の笑みだ。


 『焔、何したのさ?』

 『椅子の4脚に小型の爆弾をしかけただけー。今日の朝に仕込んだのん』

 『定期試験戦争の前からの仕込み!?!?』


 焔は悪戯の為なら時間を惜しまない奴だ。本当、手の込んだ事を……。
 そんな風に思っていると、ふともう一枚の手紙が来た。


 「……? あれ?」


 これは焔のモノではないようだ。紙がちょっと女子向けな可愛いデザインな気がする。



 『さっきの爆発って、焔くんのせいですか?(@_@;)』


 ……………………。



 ………………………………???????????





 「だッ……誰!?!??!?」


 僕はたまらず叫んでしまった。それが思わぬ音量だったらしい。斉藤先生は振り返って僕を見る。


 「……? 今度は黒田か。どうした?」

 「……!! いえ、失礼しました。続けて下さい。」

 「……そうか?」


 それ以上は何も言わず、黒板につらつらと文字を書き始めた。

 僕はとりあえず一度深呼吸をしてもう一度手紙を見る。えっ、マジで誰!? 誰の手紙!?
 大げさにならない様に辺りを見渡すも、焔みたいにアクションを起こしてくれるわけでもない。

 仕方がない、ここは……


 『うん、そうだよ。ところで失礼承知で申し訳ないんだけど、君は誰? 手紙じゃ分からなくて……』


 と書いて、来た方向に回す。クラスの人達はなんでこんなにノリがいいのだろう。謎である。
 まぁ普段僕も回す立場になるときが多いからその辺はお互い様なのだろうと思う。

 ほんの数分で、僕に手紙が届いた。
 何かドキドキする……。ラブレターを貰う時の気持ちってこんな感じなのかもしれない。

 とりあえず、読んでみる。




 『ポニテかいちょーって、けしからん胸してるよね』

 『知るかああああああああああああああ!!!!!!!!!!!』


 焔だった。即効で返事を突き返してやった。

 そして今度こそ、本命の手紙が届く。
 ふぅ、っと息を吐く。やばい、緊張する。何でだ、僕。
 そして恐る恐る、開く。



 『梨くん……(T_T) 私だよ、幼馴染の、鈴木絵美だよっヽ(^o^)丿』


 「ええええええええええええええええええええ!?!?!?!??!?!?!?!?!」



 つい立ち上がって大声で叫んでしまった。えっ、絵美!? あの絵美!? ふえぇ……の絵美!?!?

 普段全くスラスラと会話のできない絵美!? 一日大体30ふえぇは確実に言うあの絵美!?
 こんな顔文字乱用すんの!?!? てか手紙だとこんなに普通に喋れるの!?


 ……そこでふと気づく。自分が、とんでもない醜態をさらしている事を。

 生徒も先生もこちらを見ている。コレハマズイジョウキョーダ。



 「…………お手洗いに行ってきます。」


 僕は一度、トイレにでも行って仕切りなおす事にした————。