コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- ぼくのかんがえたさいきょうの、ちゅーにびょー(ぼく中二病) ( No.5 )
- 日時: 2015/03/12 13:15
- 名前: ヒトデナシS ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
【4】
————そして、ついに迎えた昼休み。
本来学生達にとっても先生にとっても安らぎの時間のはずが、職員室だけは違っていた。
数分前、職員室は襲撃を受けた。(もちろん『中二病団』と呼ばれる僕らのせいである)
時間にして12時10分、中間テストを一週間前に控え、立ち入りを禁止されたこの職員室に、
どこからともなく放り投げられたスモーク手榴弾で先生達は黒い煙に覆われ、
それと同時にドアを蹴り破る音、そして銃声。(なぜ銃を持っているのかと言うツッコミはなしで)
「突撃いいいいいいいいいッッッッ!!!!!!!!」
一応、この高校の生徒会長である『龍同妃香里』は定期試験撲滅戦争へと身を乗り出した……!!
「な……なにごとじゃあああああああ!?」
社会を担当している田中先生は自分の座っていた椅子を壁代わりにしながらそう叫んだ。
頬にご飯が付いている所を見ると、どうやら食事中だったらしい。
だがそんな先生の反応など、お構いなし。
「私が前線を張るッ!!! ついて来い同胞ッ!!」
「いえっさーポニテかいちょー」
「ふっ、王自らが出るのだ。我を余興で楽しませろ」
「ふ……ふえぇ……おじゃま……しますぅ……」
「…………マジでやるの?」
『中二病団』の面々がどんどん職員室に駆け込んでいく。
ちなみに龍同先輩と焔は片手にマシンガン、貞道はショットガンを持っている。
……いや、マジで何しに来たんでしたっけ???????
「ほい、開幕の合法ロりならぬ、合法殺戮ショーのはじまりはじまりー」
二ヤリ、と笑った焔から、ガガガガガガガッ、っと小刻みに鈍い銃声が鳴り響く。
焔の持つマシンガンがそこら中に穴を空けていく。
おい、あれモデルガンじゃないの!? マジもんの本物!? マジの狩猟武器ぃ!?!?
「さぁ、括目せよッ!!!! 『Ability Time 【アビリティ タイム】!!』
————ドラゴンよ、我が中二病の化身よ。ここに力を示せェ!!!」
龍同先輩の凛とした『中二病詠唱』の声が響く……!!
————『Ability Time 【アビリティ タイム】』。
これがここでしか許されない『中二病』を具現化する合言葉。
発動するための掛け声でもあるわけだが、これを必要とする場合とそうでないときがある。
龍同先輩の『中二病』は……————
「ゴギャアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!」
地面に生成された魔方陣から一匹の生物が生成される。
それは形を得ると翼を伸ばし、巨大な体躯に負けぬほどの咆哮を鳴らす。その生物は、
「……3m級のドラゴンかッ!!!!」
社会担当の田中先生は舌打ちをしながら吐き捨てる様に言った。
そう、龍同先輩の『中二病』は、誰もは一度は名を聞く『ドラゴン』の召喚なのだ。
その大きさは自分で決める事が可能で、今回は職員室にギリギリ収まる3m級のドラゴンなのだ。
とはいっても、3mでも十分に大きい。はっきり言って対峙したら物怖じせずにはいられない。
「さぁ、ゆくぞ野郎どもッ!!!! 私に続けえええ!!!!!」
その掛け声と共にドラゴンは開戦の炎を豪快に吐き出した……!!
「『Ability Time 【アビリティ タイム】』、守れ、プロテクトシールドッ!!」
吐き出された多大な炎を、一人の大人の女性が両手を前に出して受け止める。
その手には身長程の大きな鏡の様な壁が出来ている。その壁に阻まれて、炎は散らされた。
受け止めた、というよりからは、受け流したという表現が正しいだろうか。
たしか今の人は、理科を担当している、川崎先生である。
その芸当を見て、改めて感心したかのように龍同先輩は不敵な笑みを浮かべる。
「……さすがの守りだな。さすが30年間処女を守り続けるバツイチ、川崎先生。ガードが堅いな」
「まだ29だっつうの小娘ええええええええええ!!!!!!」
川崎先生は作った壁をそのまま前線に押し出していく。その表情は鬼。せっかく美人なのに。
どうやら僕達をその壁で押しつぶす気らしい。だが、
「————『Ability Time 【アビリティ タイム】』。邪魔だ。潰れろ」
誰かがそのセリフを謳う。ズンッ、という鈍い音が空間に響く……。
瞬間、押し出されていた鏡の様な壁は瓦解し、川崎先生は両手両膝をついて地面に貼り付けになる。
————この『中二病』は、王貞道のものだ。名は、『重力』。
「がッ……こ…んのぉ……く…そ…がきぃ……!!!」
「王の前でいきり立つとは淑女の振る舞いに掛ける。
一の女性であるなら王に誠意を見せねば失礼であろう?」
貞道は狂気に満ちた笑顔で見下ろす。その姿は妙に様になっている。
龍同先輩と貞道の両者を視界に収め、田中先生は不気味な笑いを浮かべ、
「ふふふふふふふ……はははっはははっははははっはあああああ!!!!
よかろう、君たちぃ……退学程度で済まさないと思ええええええ!!!!」
そして両者の全面戦争が始まった……———————。
(あ、ちなみに僕と絵美はずっと後ろで眺めてました。だってよく分かんないし。)