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- ぼくのかんがえたさいきょうの、ちゅーにびょー(ぼく中二病) ( No.8 )
- 日時: 2015/03/12 21:41
- 名前: ヒトデナシS ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
【5】
————そして、今に至るわけだ。
「ええい、進め、進めェ!! これは我々生徒にとって命がけの戦いだァ!!」
第一線。声を荒げて指示を飛ばす女性(僕にとっては先輩)が3m級のドラゴンに乗って前線を張っていた。
ドラゴンの翼の風圧で重ねられていたプリントの束が宙に乱雑に舞う。
よく見ると、「定期試験問題」と書いてある。
「こんの糞小娘生徒会長がッ!! 高校テロとは何事だぁ!? 『デスビーム』ッ!!」
「ぬわッ!!」
教員の一人、社会を担当している田中先生は、目からビームを出した。
もはや人知を越えている。
そのビームを受けたドラゴンはうめき声をあげると、前のめりに倒れて消滅した。
「くッ!! よくも私のドラゴンをッッ!! 私はもう怒ったぞぉぉぉフリー●ァあああああ!!!!!
「社会の問題はなァ、文字数が多いせいで作るのに時間がかかるんだぞッ!!
分かってやってるのかこの糞坊主どもがァッ!!
イタッ、ちょッ、辞書を投げるんじゃないッ!!
今のは……痛かったぞおおおお!!!!」
ビームなりドラゴンなり、銃声なり奇声なりでテンヤワンヤしてる中、
「テストなんてないほうが人類幸せなんじゃね?」
そう言って平然と僕の友人の焔はケラケラと笑ってプリントを燃やしていた。
なんというか、証拠隠滅だった。これが自分の親友とか信じたくはない。
……ああ、ちなみにここ、職員室です。
ビービ—と警報が鳴り響く。原因はもちろん、
炎で燃やしまくる焔のせいで火災探知機が反応したからだ。
「な……梨くぅん……ふええ……」
子犬の様に震えるのは幼馴染の絵美。涙目になってこのテロを見守っている。
ちなみに僕もそうだ。正直、唖然としている。泣きたいのは僕も同じだ。
「ふははっははははは、王に跪け愚民どもがァァあ!!」
先生に対して無礼な口を聞きながら、自称王様は職員室の机の上で高らかに笑う。
銃弾やら魔法やらが飛び交うこの戦場(職員室)でお気楽な男である。
「……なんというか」
僕はこの惨状を目のあたりにして、
「…………中二病乙」
お決まりのセリフを、吐くしかなかった。プロローグフラグ回収終わり。
「ッ!! 引くなッ、ここで引いては撲滅など夢のまた夢だ!!」
次々とドラゴンを生成する龍同先輩が忙しなく前線を押し上げる。
もう彼女一人でいいのでは? とはいかない。なぜなら……
「はッ、そんな貧弱なモンスターなど、私の『デスビーム』イチコロだあああああ!!!」
そして次々と目からビームでドラゴンを絶命させていく田中先生。
どうやらあのビーム、当たった対象を容赦なく絶命させる『中二病』らしい。
ドラ○エとかでいうザラキみたいなものか。……えっ、いや、強くね!?!?
……あ、ちなみに、死者はすでに出てます。3人ほど。主に教員が。
その内の一人、川崎先生もお亡くなりになりました。貞道に頭をショットガンで撃ちぬかれて。
……そんな光景の片隅で、ちゃっかり3人目を殺そうとしてる人発見。炎の死神、焔である。
話しているのは、数学の先生のハゲル先生。どうやら焔に突っかかっている。
「俺プリント燃やしてただけじゃーん。何でこんな標的にされるのかね」
「おまっ……忘れた事はないぞッ!! ワシのカツラを盗んで遊んだことをッ!!」
「あー、あったなーなつかしー。ねぇ、頭サッパリした気分はどぉ? ねぇどんな気持ち?」
「死ねッッッ!!!」
ハゲル先生は手に生成した爪で襲い掛かる。が、
焔がパチンッ、と指を鳴らした瞬間、ハゲル先生の身体が大爆発と同時に炎に包まれた……!!
「あっ、ごっめーん☆ ついスキンヘッドにしてあげようとしたら……————つい殺しちゃった」
不敵な笑みで死体を焼く焔。本当、死神って彼みたいなことを言うのではないだろうか。
ちなみに焔の『中二病』は炎。ちなみに、『中二病詠唱』を必要としない。
『中二病詠唱』を必要としない例は二つ。『特殊な中二病』か、はたまた、『ただの天才』であるか。
焔は入学当初から後者だと言われ、教員からもマークされている。主に問題児として。
ともかく、彼は『中二病団』でも現状、撃退数3人のナンバーワンである。(撃退と言うか殺してるけどね。)
「そう辛気臭くなるなよ梨—。どうせゾンビの如く明日には湧いて出てくるんだしさぁ」
「うわッ、何で考えてる事が分かったのさ!?」
いつの間にか隣にいた焔。正直心臓に悪いのと、どうしてこうも考えが読まれるのだろうか。
ちなみにさっき焔が言った通り、なぜかこの学校では死んでも生き返る。
噂では保健室で生き返り、次の日には何事もなかったかのように過ごすそうだ。
正直異常で怖い。死後の世界とかさまよってたりするのだろうか。
「ふははははは、面倒だッ、もう余興は終わりにしようぞ愚民ども!!」
ふとそんなやり取りをしていると、教員の机に堂々と乗って高笑いして仁王立ちしてる貞道がいた。
……嫌な予感しかしない。