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Re: ユウナちゃんのお道具袋 ( No.3 )
日時: 2015/03/14 17:46
名前: 独楽林檎 ◆tr.t4dJfuU (ID: vLlTyC08)

 2013年、秋。

 今日も百円均一店、『カブト』にはいろいろなお客さんが入ってくる。

 老人、若者、女の人、男の人。

 今度は、小学校高学年ぐらいの女の子。

 文房具を買いに来たのか、僕のいる筆記用具売場へやってきて……。

 僕を見て、目を輝かせた。

「わあ!」

 歓声とともに、僕を持ち上げる。

「優しそうなボールペン!」

 そう、僕はボールペン。

 でも……優しそうなボールペン?

「そう!あなた、優しそうってよく言われるでしょ?」

 ……びっくりした。

 僕はボールペン、喋れるはずがないのに……

「決めた!あなたは黒いボールペンだから、名前は『カイ』ね。
 あの、『風の向こうで』のキャラクターである『黒井戒』から取ったの!」

 そこで女の子はレジに向かい、ササッと僕を買った。

「私の名前は明里優羽奈。ユウナって呼んでね!」

 ユウナちゃんっていう名前なんだね。

 でも、呼ぶことはできないよ?

「大丈夫!カイくん、君の心は強いんだ!カイくんを大事に思っている私に、君の言葉は伝わるよ!」

 ニコッと笑ったユウナちゃんの頬に、深い笑窪ができた。

 不思議な娘だけど……可愛い。

「ありがと!それからカイくん、改めて、これからよろしく!」

 うん、よろしく。

 ……その時、周りにいる人たちが目を丸くして僕たちを見ていたのは……どうしたんだろうね?