コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: ユウナちゃんのお道具袋 ( No.4 )
日時: 2015/03/15 13:15
名前: 独楽林檎 ◆tr.t4dJfuU (ID: vLlTyC08)

 ユウナちゃんが僕を抱えたまま建物の前で立ち止まった。

「ここ、私の家だよ。お母さんと、2人暮らし」

 お父さんは?

「……あ、あとで話す。私が何歳なのかとかも交えて、ね!」

 そっか。

 そこでユウナちゃんは鍵を取り出して、ドアを開ける。

「ただいまー」

 返事はない。

 何で?

「お母さんが仕事に行ってるから。今のところ、私とカイくんの2人だけだよ」

 なるほど、つまり僕が来たからこの家は3人暮らしになったんだね。

「うん!カイくんみたいにはっきりと声が聞こえるのって、初めて!」

 ユウナちゃんって、きっと友達が多いよね?

「……全然。私、妄想癖だから……」

 あっ、ごめん!

「いいって!代わりに、カイくんが友達になって!」

 そういう意味か。

 うん。

 まだ謎が多いけど、ユウナちゃんなら……いいよ。

「ありがと!」

 ニコッと笑いながら僕を掲げたユウナちゃんの頬に、きれいな笑窪が浮かんだ。