コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 雨の社【オリキャラ募集】 ( No.20 )
- 日時: 2015/03/24 23:09
- 名前: はにわ ◆MTo6zazpiQ (ID: De6Mh.A2)
◆
数分後、雨が少し引いたのと同じように彼女の「感情」の流失も止まったらしい。
なかなか気が利いてるじゃねえか、と小雨を降らす雲に、軽く目配せしてみる。
そんなことをしていると、虹架が話しかけてきた。
「あの……ありがとね、こんなに泣いたの久しぶり」
家とかまして学校じゃぜぇったい無理だし、弱いと思われるの、嫌なの。
「なんかすごく……楽になった」
そこまで言って、恥ずかしくなったのか——自身の足を見つめ、ぶらぶらと振って見せた。しかし最近のお嬢さんはなんつーか引っ込み思案?なのが多いのか?
「後は受験するだけだな、で、そんなあんたに質問だ」
……なぁに?と虹架が首を傾げた。そして、時間を置いて、息を吸って、
—ー何か好きなものは?
「な、なんだそんなことなの?うーん……」
急に言われてもなぁ、といったようにうう、と唸っていた。
そして、思い当たる節があったのか、あ!とかわいらしく手をポン、とうってみせた。
——和菓子!!和菓子が好き……かな。最近よく家で勉強する時に食べるの。
「綺麗でかわいくてね」
「ほう」
「最近のおすすめはもなか」
「ほう」
「私が始めてもなかを食べたのは」
「よし分かったもういい」
「もなか説明会」のようなものが始まる前に、手で制す。
「じゃあ俺が茶屋で買ってやろう」
えー本当!?と俺の提案に目を輝かせた。——ま、人生はそんなに甘くないぜ、と。
飛び切りの笑顔で、断つ。
……その受験に、合格したら、な。
「ええっそんな……」
ガーン、と効果音が聞こえてきそうなほど、みるからにしょんぼりしてしまった。心なしか結んでいるお団子が垂れ下がった気がする。
「合格すると決めたのだろう?」
それとも、なんだ、泣いたから自信なくしちまったかい?
と目を細めてからかってみる——というか煽ってみる?
虹架は、そんなわけないでしょ、と必死にかぶりを振った。
「むしろすっきりしたし、いい感じだよ!!」
——合格してみせるから!!
「おーおー、期待してるからな」
「だから、ぜったい、和菓子買ってくださいよっ」
——周さん!!
決心がついたのか、虹架はひとりでに鳥居のほうへ向かっていった。
意思の強いお嬢さんだこと。と謎の既視感を覚える。
この子、絶対「あいつ」にゃ相手できねぇな。
セーラー服をまとった少女、——そういやあの服は水兵の軍服が元になってるそうで。それを納得できるくらい、凜と、堂々としているように見えた。
なんとなく、手を振るのでなく、敬礼してみる。
「朗報を、お待ちしておりまーす、ってか」
——どうか、御武運を。