コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 雨の社 ( No.28 )
- 日時: 2015/03/30 11:34
- 名前: はにわ ◆MTo6zazpiQ (ID: De6Mh.A2)
仕方ない、と諦めるように首を横に振る。
適当に散乱しているものを片付けるとしましょう。
「偶に来て見ればこれだ、世話ないな……」
文句を言いつつ、まず布団を押入れに収納しようと手を伸ばした。
……何か妙に、湿っぽいような
——雨の匂いがする。否、黴の匂いか?
これであぁそれ全然干してなかったんだよな、とか言おうものなら、やはり彼——周を柱に縛り付けておく事も考えなければ。
何にせよ、彼にやらせるつもりですが。
数秒で布団を畳み、よいしょ、と押入れを開けた。すると、案の定埃がまっており、思わず顔を顰める。
そして、……何か違和感を感じて動きを止めた。
『あ、お邪魔してます。ここ、結構居心地がいいの』
私は目が点になりました。まさか押し入れを開いて、……女児が居ようとは。
……あいつまさかとんでもない事をやらかしたんじゃないだろうな
先ほどの部屋の光景が思い出された。
「ええと、貴方は一体誰ですか?どこからか連れて来られたのですか?」
なんだか得体の知れない悪寒が襲い、思わず聞くと、
『いいえ、たまに遊びに来てるだけで……ただの座敷わらしよ』
とだけ答え、眠そうに目を擦っていた。
いや待って欲しい、物の怪の類なのか、すると本当にわざわざ来る意味が分からない。
考えているうちに、
本人いわく——座敷わらしはうーん、と気だるげに背伸びをして押入れから出てきた。
思わず後ずさる、何なんだ、この子は。
『自己紹介ぐらいはしたほうがいいよね。小町です。よろしく』
自らの着ている真っ白な着物に手をあてて、軽く会釈された。
その声は少し酒焼けた声に聞こえた。
とりあえず私も、挨拶したほうがいいのでしょうか——
「小町様、と仰るのですね。……私は恵と申します」
へぇ、恵さん……あなたは普通の人間じゃなく見えるわ。
おそらく、この神社に何か関係があるのでしょ?
まるで子どもとはかけ離れた微笑を浮かべ、わかるよ、と続けた。
私は何か不気味なものを感じ、押し黙ってしまいました。
先ほどの埃が、空気の動かないのを表すようにゆらゆらと漂っていた。
小町は口を開いて、じっと私の事を見上げました。
『ねぇ』
「……何でしょうか」
『私が、普通の人間に見える?』
「見えますが……座敷わらし、なのでしょう?」
まったく読めない、と思い、困ったように口角を引き攣らせました。
すると、私の着物の袖を掴み、耳を貸して、と微笑まれ、
そして、屈みますと、
——貴方も、私の正体を見抜けなかった。
……呆然として、しばらく小町を見つめました。
ええ、つまり、…………。
「あ、小町さーん!……げ、恵」