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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 雨の社 ( No.3 )
- 日時: 2015/03/20 09:27
- 名前: はにわ ◆wrfkg3Dbu. (ID: De6Mh.A2)
少女を介抱し、今に至る。
神社のすぐ近くにある、俺の家まで何とか担いできた。
「とりあえず布団しいとくから寝とけ、直るぞ」
畳にうみうしのようにへばりついていた少女に何とか動いてもらう。
「きもちわるいー……ぐらぐらする」
目の焦点があっておらず、ぼんやりした顔で呟いていた。
「熱にうかされる、っつーのは正にこういうことだよなぁ……死ぬなよ?」
「し、しなない……」
笑いながらいう俺に、さも迷惑そうに半身だけ起こして言い放った。
「終わったぞー。入れ入れー」
まるで猫か何かのように扱っているが、悪いな。
「んー……ごめんなさい」
全身がすっぽりと布団に覆われたと思うと、すぐに寝息を立て始めた。
その少女の頭をぽん、ぽん、と軽く叩いて、離れる。
起こしちまったら、可哀想だもんな。
◆
畳の床を、片足だけぺたぺたとリズムをとりながら、
木目がちょっと鬱陶しい感じのする棚を、正確には棚の中を引っ掻き回していた。
「料理はてんで駄目だもんなー……」
なにか元気づけるものはないだろうか、と。
何かの袋、何かの入れ物、何かのお守り、何かの空き箱。
地味な色彩の中で、一つ目を惹くものがあった。
がさ、と手にとる。
{金平糖}
小さくて淡い色を放つ星を、そのまま袋に閉じ込めたような、お菓子。
その、名前。
手書きの字で、そう書いてあって。
——沈黙。雨の音がよぉく聞こえるようだった
嗚呼、なんだろう、それを見て、少し切なくなった。
「とりあえず、これおいといてやっかなぁ」
自分の、黒髪を直すフリをして、少し目を擦る。
食器を出して、金平糖をざら、と開けた。
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