PR
コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 雨の社 ( No.30 )
- 日時: 2015/04/01 23:24
- 名前: はにわ ◆MTo6zazpiQ (ID: De6Mh.A2)
……そうさな、ちょっと入り組んだ林の中だったわ。
小町はそこを歩いていたの。
木漏れ日が差していて、やさしくてきれいな光だと思った。
薄暗いところだったけど、おかげでちっとも怖くなかったな。
少し湿った土とか、植物とかを踏みしめて歩いてて、
背の高い草木をなんとかかき分けたりしてね、
そこの感覚は、……うーん、ちょっとべちゃべちゃして嫌だったわ。
でも、冒険みたいでなんだかわくわくもしてた。へへ、小町が本当に「唯の」子どもみたいでしょ?
それでね、
……大きな川を見つけたの。
ちょっと濁ってるくらいで、まぁまぁ綺麗だった。
手も足も泥だらけだったし、小町はそこにすぐさま飛び込んだわ。
そしたら、冷たいのなんのって。
瞬きをしている間に、足が凍りついちゃったのかと思った。
それで、なんとか、そこをじゃぶじゃぶ進んでいってね、
……ご名答。すごく深い所まで進んでて、思い切り川底の石につまづいたの。もう、膝上以上の所まで水、来てたのにね。
で、豪快に転んだってわけ。頭からよ?ちょっと間抜けだよね。
何から何まで、びっしょびしょ。へへ。
もう仕方ないから、日のあたってる所へいこうとして、立ち上がって、
水を吸って重くなった着物をぎゅぅ、って絞って————とりあえずは川から出たの。
そして、どーしようかなって。この林を抜けようってことになったわけ。
何か、冷たいものが、ぽつん、と落ちてくるのを感じた。
そうしたら、みてごらん——雨だよ、雨。降って来たの。
不思議な話だよね。
——その瞬間に、林から出る道が分かった。
もうさっき散々濡れちゃったものだから、気にならなくて良かったな。
で、抜け出した後に、何か見えるな、って思って。
霧がかかってて、ぼんやりしてたけど、足を止めて……。
赤い色。目を凝らした。
PR