コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Gimmick Game ~僕たちの歯車を狂わせたのは君~ ( No.12 )
- 日時: 2015/03/28 18:02
- 名前: 逢逶 (ID: Ft4.l7ID)
episode11
title 分かってる
今日は糸村さんと約束がある。
仕事ももちろんある。
山田さんと会うのは気まずい。
今日の仕事の内容は…
午前中にCM撮影があるから迎えに行って、午後はロケでついてなきゃいけない。
長い一日が始まろうとしている。
「…もう、時間か…」
ベットから起き上がって、身支度をする。
昨日は何故かよく眠れた。
絶対眠れないと思っていたのに…
「よし」
支度を済ませ、家を出た。
車を発進させ、山田さんの家に向かう。
山田さんの住むマンション前に着いた。…山田さんは今日も外で待っていた。
ドアを開け、山田さんが乗り込むのを確認して出発した。
「…おはようございます」
「…おはよう」
「今日はKISSTILL全員で航空会社のCMその後北海道でロケです」
「…うん」
絡み辛い…
そもそも絡む気は無いんだけど。
「…蓮ちゃん」
「何ですか?」
「好きだよ…」
急に…?
「はい、知ってます」
「…彼氏なんていないでしょ」
驚く私。
どうしてそんなことを言うのだろうか。
バレるわけないし。
「います」
そう言うのが、正解でしょ…?
「…いないでしょ。蓮ちゃんさ、昨日も普通に俺達とご飯行くし今日も糸村と約束してるんでしょ?男と毎日約束って…彼氏いたとしてもマンネリ化してると思うんだけど」
「余計なお世話です」
ここでいないと認めちゃったら終わり。
「…いるんだ?」
「いますよ」
バックミラーで見えた山田さんの顔はどこか沈んでいて、綺麗な顔が台無し。
恋愛で仕事の雰囲気乱したくない、って言ってた顔とは全然違う。
無駄に落ち込んで馬鹿みたい。
「…蓮」
呼び捨て…?
ドキッとすると思った?
私にそんな感情無いんだよ…
「何ですか…?」
「ドキッとしたでしょ?」
「ごめんなさい…全く」
「えー、マジ?強敵…」
「…どうして私?他に山田さんのこと好きな人いっぱいいますよ?なのに山田さんのことなんとも思ってない私なんて…」
「はっきり言うなぁ…。好きになったら止められない。そんな感情味わったことない?」
「無いです」
景都は好きだったけど溺れるような恋じゃなかった。
もしかしたらもっと好きになれたのかもしれないけど…
あんなことされちゃ無理だ。
好きだった気持ちは初体験のあの日に消えた。
あ、れ…
頬に冷たい感覚…。
泣いてるし…
気付かない内に泣いていた。
あー、駄目だ…
山田さんに見えないように、手で必死に拭った。
「え…蓮ちゃん?泣いてる?」
…泣いてないよ。
泣いてないから。
お願いだから見ないで?
「…泣いて、ません…」
「泣いてんじゃん」
「…」
仕事はきっちりするって決めた。
なのにこれ。
「…蓮ちゃんって本当にずるいよね」
え…?
「…何がですか?」
「自分のこと好きって言ってる相手の前で泣くなんてさ、俺としてはますます好きになりそうなんですけど…?」
「すいません…」
「どうして泣いてたか教えてよ」
「わかりません」
いや…本当はわかってた。
こんなゲーム終わりにしたかった。
過去の傷を自ら広げているようなもので。
誰かに助けてもらいたい、でもそんな相手はいない。
だから余計辛くなるし、ゲームを続けるしかなかった。
もし、景都と出会っていなかったら…
私はもっと綺麗な人生を歩んでいたかもしれない。
悪いのは景都。
わかってる。
その他の男は悪くない。
でも、信じられない。