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Re: Gimmick Game ~僕たちの歯車を狂わせたのは君~ ( No.17 )
日時: 2015/03/31 21:14
名前: 逢逶 (ID: mJV9X4jr)

episode16
title ゲームオーバー

ゲームオーバーだなぁ…

一睡も出来ずに、二日目のロケを迎えた。
昨日の寒さはどこへやら…実に清々しい快晴である。

…なんて、ね。


昨日、気付いてしまったことは…
私は人殺しになりたくないがために我が子への愛を無かったことにした、ってこと。

景都…

私をこんなにしたのは貴方だよ?

「…もう、駄目だなぁ」

マネージャーさん達にも話は回っているらしく、近寄らない。それに時々私の方を見てこそこそ何かを話している。


「辞めよう…」

そんな独り言は虚しく胸にこだました。


今日のロケは午前で終わった。

あっという間に時は過ぎて、ぼーっと流れに合わせて動いていたら…帰りのロケバスに乗っていた。

車内は盛り上がっていた。
マネージャーさん達とKISSTILLは、賑やかに今日のロケの話をしていた。
私は…ただ静かに泣いていた。

誰も気づかないし、気づいてほしくない。
なのに…


「小枝さん?何、泣いてるの?」

伊藤さん…
冷め切った目で私を見つめた。
助けたい、って嘘でしょ?

「…どうでも良いでしょ。話しかけないで」

「泣いてるくせにさぁ…強がって、馬鹿じゃないの?」

「強がってないですよ」

「あっそ。…あのさぁ、マネージャー辞めてくれない?昨日は同情して辞めないで、って言ったけどもう必要ない」

「…はい、私も辞めるつもりだったので。短い間でしたがありがとうございました」

必要ない、か…
うん。

私の代わりはいくらでもいるんだ。



車は空港に到着し、あの気まずい空間から解放された。

機内では何故かぐっすりと眠ることが出来た。


…必要ない、必要ない、必要ない。

ひたすらリピートされる言葉。


必要ない…、


私はいらない人間…。


そう思ったら体は勝手に動いていた。

「…失礼します」

只今、会社にいます。

辞めるため。
社長室のドアをノックし、中に入る。

「あ、小枝さん。大体事情は把握してるから。うん、辞めても良いよ」

社長はそう言った。
やっぱり、代わりはいるってことか…

「給料はいりません。たったの一週間ですから…では、ありがとうございました」

「給料は渡すよ。ありがとうね」

礼をする。

よし、新しい仕事見つけよう…

じゃあ、さようなら。


新しい人生を行こう。

心残りも無い。




私は行く当ても無いまま歩き出した。



絶対に他人に期待しない。

私は三度裏切られたんだから。


ゲームオーバー。


新しい男を陥れよう。


…そして、私はこれからも自分を否定して生きていこう。



殺してしまった我が子のために。


償うんだ。



私は、最低の人間。


汚れた人間。




…男に報復して、自分に罪を与えて。


正解なんてわからないけれど、私にはそれ以外の選択肢は無い。