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Re: Gimmick Game ~僕たちの歯車を狂わせたのは君~ ( No.20 )
日時: 2015/04/01 21:42
名前: 逢逶 (ID: Ft4.l7ID)

episode1
title 霞む

今日は光に会う日だ。
とても気が乗らない。

仕事を辞めて、家で退屈している。
でも後悔はしていない。

テレビをつけるとあのグループは必ずいる。
ドラマが始まることもあって、大忙しなのだろう。
私がいなくても上手くやってる感じ。

携帯にはまだマネージャーさん達と山田さんの連絡先が残っていて、中々消せずにいる。
向こうはとっくに消しているんだろうけど、何故か。



ぴーんぽーん

来たかな…

玄関に行き、鍵を開ける。


「蓮、久しぶり」

少し早めに光が来た。

「久しぶり、かな?笑」

「俺、すんげー会いたかったもん」

「私も。入って」

人気若手俳優が一般人の部屋にいるなんて…写真でも撮られたら大変。
光を中に招き入れ、付き合っている頃からよく飲んでいたコーヒーをテーブルに置いた。

「ありがと。…覚えててくれたんだ」

「光の好きなもの忘れるわけないじゃん」

「…照れる」

真っ赤になっている光に騙されてしまいそう。
光の本性を忘れたわけじゃない。
人間誰しも欠点の一つや二つある。
…私はそれを許せなかっただけ。
だから、素直な光を優しい目で見ることは出来ないんだよ…。

光はコーヒーを啜って、はぁー、と息を吐く。
幸せそうな笑顔に、私は愛想笑いで返す。

「…蓮、キスしていい?」

「…聞くんだ?笑 断れるわけないでしょ?」

お互いにふふっ、と目を見合わせて笑って唇を重ねた。

角度を帰られる度小さな声が漏れる。
その声にスイッチが入ったのか…光は私の服に手を入れて来た。

「…ちょ」

「だめ?」

「も、その顔で聞かないで?」

可愛い顔で、尋ねられて…断ることももちろん出来たけどOKした。


そのまま…ベッドに移動して…


行為が終わった後、久しぶりだからかいつも以上のダルさが襲いそのまま眠った。



「蓮、起きて」

肩を叩かれ、目を覚ます。

「どうしたの?」

「そういえば、仕事は?二時になるよ?」

え、あ、そうか。
仕事辞めたこと教えてなかった。

「昼だよね?」

「夜なわけないじゃん笑」

「私ね…辞めたんだ。色々あって」

「そうなの…?」

「うん」

「…俺ねKISSTILLの森京也さんと一緒にドラマするんだ」

「そうなの?!おめでとう!」

「…おめでたくないよ。だってさ、森さん演技うますぎるんだもん。アイドルの枠超えてるしさ、俺が霞んじゃうんだもん」

…は?
自分が霞むって…じゃあ努力すればいいじゃん。
勝手すぎる…

「…良いじゃん。元々主演じゃないし、脇役でしょ?」

「それもおかしいんだよ。俺が脇役なんてさ、原作からして視聴率期待出来そうだから出演決めたけど…断っとけば良かったな、って」

あー、もう。面倒くさい。
わがままで自己満足のために演技してる。
私には演技のことなんてさっぱりわからないけど、光がルックスだけで売れたのはなんとなくわかる。


私の前で愚痴る光も、感情的に行動する光も…それだけで光の魅力を全て無にできるんだよ…


ねぇ、気付いて。
私はこれっぽっちもあなたが好きじゃないんだよ?


ねぇ、気付いて。
私はこれっぽっちもあなたを信じられないんだよ?

ねぇ…、

…誰か助けて…