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- Re: Gimmick Game ~僕たちの歯車を狂わせたのは君~ ( No.24 )
- 日時: 2015/04/08 06:23
- 名前: 逢逶 (ID: IqVXZA8s)
episode5
titile 首筋
山田さん曰く、社長は私の帰りを待っていたらしく話はスムーズに通ったようだ。
「…じゃあ明日からよろしくね」
KISSTILLはさっきのキスなんて気にしていないようだ。
だから私も愛想笑いで、店を出た。
「…めんどー」
フラフラと家へ帰り、そのままベッドへ倒れ込んだ。
今日を思い返す暇もないまま、睡魔により目を閉じた。
「おーい、おーい」
誰かの声で目を覚ます。
はっ、と目を開けると光がいた。
「…え、なんでいるの?」
「なんでじゃねぇよ。昨日全然電話出てくれないからさぁ、心配になって来たら鍵空いてるし?」
「だからって、入ってきて良いわけないでしょ」
「ごめんって、許して?」
「はいはい。…あ!今何時?!」
光は腕時計を見て時間を確認しようとするけど、その前に私は掛け時計を見た。
「…八時。やばい!」
「え?!何が?」
「仕事あるから、じゃあね!光も出て行って!」
確か迎えは八時半。
シャワーぐらい浴びとかないと…、
バスルームへ直行し服を脱ぎ捨て、大急ぎでシャワーを浴びた。
髪を乾かす暇もない。
新しい服を出して、大急ぎで着た。
「…よし!」
髪をわしゃわしゃバスタオルで拭いて、ぼさぼさのまま家を出た。
よし、間に合う。
八時半ちょい前。
山田さんが車に乗り込んだ。
「…おはよー」
「おはようございます」
車を走らせながら挨拶をする。
「…髪濡れてね?」
「今日八時に起きてシャワー浴びてきたので」
「ふーん。髪…束ねた方が良いんじゃない?長いと邪魔じゃない?」
「そうですね、後でします」
「俺が結ぶよ?」
「…いや、良いですよ」
「俺、上手いんだよ?妹いるからさ、いつもやらされてたもん」
「へぇー!妹さんいるんですか」
「うん、ほら右手出して」
理由もわからないまま、右手を山田さんの方に向けた。
「もーらいっ」
あ…、右手にあったゴムをとられた。
こりゃ、やる気だな。
「…大丈夫なんで」
「遠慮するでない。てか俺が結びたいだけ」
そう言って、後ろから髪を持って…
様子が見えないから、何をしているのか気になる。
「…よし!できた!」
嬉しそうな山田さんがバックミラーにうつる。
「ありがとうございます」
確認してみると、いたって普通のポニーテールだった。
まぁ、でも…変なアレンジ加えられるよりはよっぱど良いか…。
「…ねぇ、変なこと言ってもいい?」
「はい」
「首に…キスマークあるけど」
はい?
光と昨日した時は…、キスマークはつけられなかった。
でもその後誰とも…
…もしかして今日の朝?!
最悪…
「ハメられた…」
「ハメられた…?」
「いや、なんでもないです」
「…気になる」
「…これをつけたのは光です。今日の朝に」
「じゃあ…、今日の朝したってこと?」
「…してませんけど、寝ている内につけられました」
「…そっか」
元気のなさそうな声。
しばらくの沈黙の後、山田さんの指が首筋をつーっ、と撫でた。
「…なんですか?」
「妬いてるの。俺だって蓮ちゃんのこと好きなのに…触って良いのは結城くんだけだもんね…」
心なしか、胸が高鳴った。
でも、きっと…、
私の全てを知る時…、
私を嫌いになるんだろうな…。