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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Gimmick Game ~僕たちの歯車を狂わせたのは君~ ( No.45 )
- 日時: 2015/07/14 21:56
- 名前: 逢逶 (ID: lQjP23yG)
episode9
title 初めて
遼介side
気になってるんだ。
眠り姫が気になってる。
見舞いに来ては、まつげ長いな、って思う。
またか、って呆れて。
今日も目を覚まさなかったか、って諦めに似た気持ちが心の中を渦巻いて。
一日一日が永遠みたいで。
今日もその永遠を乗り越えて、地獄のような天国のような…ふわふわした時間を刻む。
俺の性格はろくなもんじゃない。
十代の頃は荒れていた。暴言を吐きまくって週刊誌に載った。
お騒がせアイドルと呼ばれていた。
あの頃は全然売れなくて、事務所にもほとんど見捨てられていて。
俺はひどく世間を嫌った。
そんな腐っていた時代も幕を下ろし、今のマネに助けられながらトップアイドルとなった。
今も仕事をもらえなったらきっと暴言を吐いていただろう。
根本的に最低な人間だと思う。
だけどメンバーは言うんだ。
「遼ちゃんほど優しい人間はいないよ」って。
おかしいよなぁ。
こんな人間が大きな傷を負った小枝さんが気になるなんてさぁ。
傷つけるだけなのに。
この想いに意味はないんだ。
だからね、みんなも小枝さんのことが好きみたいだから…、俺は身を引こう。
そう思ったはずなのに…
小枝さんが目を覚まして…
綺麗な目だな、って思ったんだ。
その時俺は感じた。
小枝さんが生きていることへの喜びを。
だから、ごめん。みんな。
譲れないものを見つけちゃった。
初めて本気で誰かを想って、わかった。
諦められないってこと。
ごめん。みんな。
それから小枝さんもごめん。
傷つけちゃうかもしれないけど頑張らせてもらうから。
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