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- Re: Gimmick Game ~僕たちの歯車を狂わせたのは君~ ( No.5 )
- 日時: 2015/03/22 18:03
- 名前: 逢逶 (ID: 9yNBfouf)
episode4
title 収録
会議は終わり、収録が行われているスタジオに移動する。
場所が分からないから仕方なくマネージャーさん達に着いて行く。
「…自己紹介してなかったよね。俺は糸村敦士。よろしく」
一番背が高くて黒縁眼鏡。優しそう。
エレベーターの中始まる自己紹介。
「俺は戸部川類。よろしくな」
まぁまぁイケメン。この人も穏やかで優しそう。
「俺は柏原瑛太。よろしくねー」
KISSTILL程ではないけどキラキラの笑顔。金に近い茶髪でチャラそう。
「俺は里崎慎太。よろしく」
犬みたいな可愛い顔しているのに、それに合わず堅苦しそう。
自己紹介が終わり、タイミング良くエレベーターの扉が開いた。
どうぞ、と紳士的な糸村さん。
軽く礼をしてエレベーターから降りる。
「ねぇ、小枝さん。明日暇?」
「はい」
「じゃ、夜一緒にご飯でもどう?」
「良いですね」
三人の後ろで聞こえないようにこっそりと約束をした。
糸村さんって結構グイグイ来るんだ。
「あ、ここ」
静かにスタジオに入った。
わ、凄い。
KISSTILLもお客さんも、スタッフさんも楽しそうな表情。
盛り上がってる。凄い。
開いた口が塞がらない。
「…凄いでしょ。うちのKISSTILL」
柏原さんが私の肩に手をかけて、その手でKISSTILLを指差している。
男の人に触られる気持ち悪い感覚なんて、考えもしなかった。
ただ、目の前の眩しい世界に気持ちが支配されていたから。
あれ、山田さんこっち見てる。
少しだけ嫌な顔をしたのは気のせいだろうか。
収録終了後、お客さんは笑顔で帰って行く。
思い知った、KISSTILLのチカラを。
「いやー、今日も良かったねぇ」
スタッフさんの声が聞こえる。
必要とされているグループなんだ、KISSTILLは。
〝お前の代わりなんていくらでもいる!〟
ずきん…
頭が痛んだ。
遠い記憶。
激しくなる痛み。
その場にしゃがみ込んだ。
声を出すこともできない。
誰も気付いてくれない。
自力でスタジオを出た。
視界が揺れて…、
やばい…
「蓮ちゃん!」
駆け寄ってきたのはKISSTILLだった。
私を支えようと、伸びてきた手。
反射的に避けてしまった。
「え…」
驚いている山田さん。
「私に触らないでください」
触らないで。お願い。
だって男は…助けたフリして最後は捨てるでしょ?
ずきん、ずきん、ずきん
「…柏原には触らせてたくせに。俺はダメなのかよ!」
ほら、私の気持ちなんて考えずにすぐ怒鳴る。
お前等なんて大嫌いだ。
…最低の生き物だ。
「…答えて?」
「…」
「もう、いいよ」
手を掴まれ、強引にどこかへ連れて行かれる私。
ずきん、ずきん、ずきん
…もう、どうでもいい。