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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Gimmick Game ~僕たちの歯車を狂わせたのは君~ ( No.51 )
- 日時: 2015/09/27 16:03
- 名前: 逢逶 (ID: 0exqyz.j)
episode15
title 予期せぬ人
中島さんと長谷さんが来てからもう一週間。
忙しいのか、誰も来ない。
寂しい。
「小枝さん、今日は戸部川類という方が面会の申請をして来たんだけど、許可できる人かな?」
戸部川さんか、久しぶりだなぁ。
「はい、会いたいです」
戸部川さんは中島さんの担当マネージャー。
面会が久々なのもあって楽しみにその時間を待った。
こんこんっ、
来た!
私は、目を輝かせた。
なのに…、
どうしてあなたがいるの?
…景都。
「よぉ、久しぶり」
私は声を出せずにいた。
「…久しぶりなのにその態度?まさか忘れちゃった?」
近寄らないで。
あなたは何も知らない。
私は妊娠した。
もしかしたらあなたの子かもしれない。
誰との子かは特定できないけれど、確実に私の子ではあった。
失ったのだ。
あなたは私の辛かった記憶なんて知らないでしょう?
病室の前には万が一何かあった時のため、永江先生がいる。
叫べばすぐ来てくれる。
だけど、声が出ない。
「蓮のこと忘れられなくてさぁ、つい色々調べちゃった。あのKISSTILLのマネージャーやってるんだって?戸部川って同僚の名前使って来ちゃった笑」
…最低だ。
この男は、病室の前に永江先生がいるのを知っている。
小さな声で話す。
私が声を出せないことを良いことに。
景都の手が私の頬を撫でる。
キモチワルイ
「また、しよ?」
強引にキスをされ、思い切り突き飛ばした。
その衝撃で景都は勢いおく尻餅をついた。
「この野郎!」
がらっ、
永江先生が入って来て、景都を制止する。
声が出ない。
あの頃の恐怖が思い出される。
そして、簡単には忘れられないことを悟った。
誰か、助けて。
声が出ない。
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