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- Re: Gimmick Game ~僕たちの歯車を狂わせたのは君~ ( No.56 )
- 日時: 2015/10/07 06:28
- 名前: 逢逶 (ID: lQjP23yG)
episode3
title 事件
悶々と眠れない日々を過ごしたのだけれど、朔さんへの恋心はほとんど無くなっていて忘れられない人ではあったけど、それは違う意味だと思う。
きっと朔さんは私に再び綺麗な恋を思い出させてくれた、忘れてはいけない人。
朔さんが幸せじゃないのなら、私もそう。
だから気になった。
吉橋先生は私と朔さんがどうやって知り合ったのか聞こうとはしなかった。
吉橋先生の思いやりは暖かく、そしてとても深く。
「あなたに欠点があったわけじゃない」
と、治療をただひたすらに続けてくれるその姿勢が美しさを倍増させていた。
「私さぁ、恋多き女だったわけよ」
当然、昔の話を聞けたりする。
「本気で好きになれる人なんていなかったのね。だけど、ある病院で永江に会うの。凄く変人でね、今じゃダンディーなおっさんだけど当時は前髪が目にかかっててボサボサで本当あり得ないって思ってたんだけどね」
うんうん、と私が頷くと吉橋先生はふふっと笑って、それでね、と続ける。
「凄く私のこと大好きで、アプローチしてきて渋々食事とかしてたら好きになっちゃったの。本当にびっくりしたんだけどね」
じゃあどうして別れたんだろう。
「どうして別れたかって?それは勿論、好きになりすぎたからよ。お互い惹かれ合いすぎちゃって、これ以上近くにいたら子供のこと蔑ろにしそうだったから。距離を取ったの。今でも事実上は結婚生活中なのよ。会う時間は減ったけどね」
ふーん、そういう考えもあるんだなぁ。
恋をしたくなる。
だけどまだ怖い。
「小枝さんはまだ恋愛は難しいと思ってるでしょ?でも恋をしたらそんな気持ち無くなるよ。永江だったらやらないだろうけど…私は、小枝さんが人に会うことを勧める」
つまり、面会を再開するということ。
そして、夕方に吉橋先生から聞いた話は…、
景都が、
口論の際、二人を殺したこと。
その二人は…、
あの高校生。