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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Gimmick Game ~僕たちの歯車を狂わせたのは君~ ( No.57 )
- 日時: 2015/10/19 19:01
- 名前: 逢逶 (ID: MHTXF2/b)
episode4
title その中で
景都が殺人を犯した。
それも、あの二人を殺した。
マスコミは〝死刑確定〟と騒ぎ立てた。
私にとって景都は恐怖を与えるだけの存在で、それ以上でもそれ以下でもない。
だから、消えてくれたらいい。
そしたら、
そしたら…、
一体何が残るのだろう。
私は何を思うのだろう。
私の病は治るのだろうか。
ぐるぐるぐる。
考えると長い。
答えなどでない。
もうすぐ日が沈む。
オレンジの空が綺麗で、ため息が出る。
「蓮っ」
誰かに呼ばれ振り返る。
一気に顔が引きつった。
景都がいた。
「…よぉ」
「…」
「俺、あいつら殺した。今更遅いけどお前の腹に子供がいたことを知ったんだ。そしたらさ、終わらせなきゃいけねぇ、って思った」
目にうっすら涙を浮かべた景都は消え入るような声で話す。
「俺、あの時…、薬やってた。色々なプレッシャーの中で悶えて、結局負けて薬に手出した。あいつらと薬やってた。…俺、お前のこと本当に大好きだった。でも薬が切れると暴走しちまうし、記憶は無くなっちまうし。それで蓮に酷いことをしちまった。正直、薬のせいでどんなことをしたのかははっきりはわからない。…大人になって薬やめたら後悔しまくって。そしたらまた薬に頼って、病人の蓮を傷つけた。…ごめん。薬なんかに手を出した俺が悪い。あいつらのことも自分自身のことも許せない。だから全て終わらせる。最後に謝りたかった。…本当にごめん」
景都はそう言って土下座した。
私は、黙って泣いた。
そんな事実、知りたくなかった。
ずっと景都を恨んでいたかった。
傷つけた景都を恨むことでしか自分の存在を主張出来なかった。
…ねぇ、景都。
嘘じゃないんだよね。
もう、誰のことも責めないで生きられるの?
景都も、私も、誰もが少しの過ちの中で生きていることを知った。
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