コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Gimmick Game ~僕たちの歯車を狂わせたのは君~ ( No.62 )
- 日時: 2015/10/21 17:07
- 名前: 逢逶 (ID: GlabL33E)
episode9
title STLL
本当にたくさんキスをした。
「蓮、好き…」
たまにそう囁く。
だから私も
「好き、大和…」
と言う。
「…あ、そういえば」
大和が甘い雰囲気を壊す。
「なに?」
「ごめん。言ってなかったけど、蓮はマネージャーには戻れない。社長は最初、蓮を待つ気でいたけど蒼が言ったんだよ。蓮ちゃんが好きって報告したんだ。そしたら…今、スキャンダルがあってはいけないって。だから…ごめん」
「大和が謝ることじゃない。確かに残念ではあるけど、なんとなく予想できてたし」
「そっか」
「でも、スキャンダルがあっちゃまずいんでしょ?写真撮られちゃ危ないし、頻繁には会えないね」
「撮られてもいいよ。てか撮らせたいくらいだよ、俺は。蓮は可愛いんだしさ、世の中の男にアピールするんだ。スキャンダルがあったって俺の気持ちは変わらないから。会う時間減らすのは絶対にしない。会える時は会う」
真剣な瞳。
愛しいと思った。
トップアイドルが私のために人気を失うかもしれないんだよ。
それなのにあなたは私を選ぶの?
最後の恋になりますように。
「…わかった。今度はいつ会えるの?」
「明日、仕事帰りに来ていい?遅くなるかもしれないけど」
「もちろん」
良いのかな…。
後ろめたい気持ちは勿論あるけどそれよりも嬉しさが勝ってしまう。
「…もうそろ行かなきゃ。なんか欲しいものとかある?」
「じゃあ、STLL歌って」
私はKISSTILLのデビュー曲のSTLLが大好き。
大和は顔を真っ赤にして歌い始めた。
「♪雪が降り始める季節 懐かしいこの街
まだ明るい時間なのに 君を想うと胸が重い
どこかにいる君に 僕は恋焦がれている
ギターを手にとって 大きく息を吸い込んだら
奏でる 君のメロディーが消えた不協和音を
もう一度kiss me kiss me まだ届かないlove song
二人手を繋ぎ歩き出す いつかの日常が戻る日まで
肩に降り立つ初雪が踊る 君だと信じて包み込む♪」
大和は世界一の歌声で私を癒した。
またキスをしたら大和は立ち上がった。
さみしそうな顔を見ると同じ気持ちを共有していることがはっきりとわかった。
幸せだけを感じていた。