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Re: Gimmick Game ~僕たちの歯車を狂わせたのは君~ ( No.7 )
日時: 2015/03/25 17:49
名前: 逢逶 (ID: FpNTyiBw)

episode6
title 単純

アイドル事務所。
大きな建物を見上げ、ただ呆然とする。

前にも来たが、やはり慣れない。


柏原さんに呼ばれ、我に返る。

「…これから何度も来る所なんだから」

エレベーターで会議室のある階に移動する。
KISSTILLも一緒。
山田さんとはなんとなくギクシャクしていて、まぁ私のせいなんだけど。


「…ねぇ、小枝さん。明日6時でいい?」

「あ、はい」

大きな声で明日の予定を確認する、糸村さん。
きっと山田さんに睨まれているんだろうな。

「明日、どうかした?」

山田さんが振り向き、私に鋭い視線を向ける。

「…気にしなくて良いです。大したことじゃないんで」

「…あーそ。それ、糸村の前で言っていいわけ?」

「あ、」

大したことじゃないって、失礼だったな…

「すいません。糸村さん」

「あー…、全然」

全然って、思いっ切り気にしてる顔じゃん。

「…山田さん。怒ってますか?」

聞いてみる。
はっきりさせないと気が済まないし、仕事に支障が出るし。

「怒ってないわけないでしょ」

「わかりました。あの時どう答えたら良かったのか、検討してみます」

「…うん」


エレベーター内では、特に会話はなかった。
狭かったし、何より山田さんと糸村さんの機嫌が悪かったから。




会議室に入る。
時間は…私のせいでオーバーしている。

「じゃあ、ライブの打ち合わせ始めようか」

「…その前に自己紹介して」

山田さんがそう言うと、KISSTILLメンバーははっとして私の方を向く。


「俺はリーダーの伊藤大和」

黒髪短髪サイドを刈り上げていて、あまり背は高くない。…ふんわりした独特の雰囲気を持っている。

「俺は森京也」

他のメンバーと比べて少し長めに明るい髪色で、あまり背は高くない。…物静かそうで、とっつきにくそうなタイプ。

「俺は中島司」

短髪の暗い茶髪で、背は高め。…顔は怖そうだけど、にっこり微笑んでくれて優しい人なんだと思う。

「俺は長谷遼介」

茶髪でパーマのかかった少し長めの髪。背は高め。…収録では司会進行を担当していて、おそらく頭が良いんだと思う。


「じゃあ、はい。ツアーの打ち合わせね」

年も明けたばかりなのに、もう年末のツアーの打ち合わせ…
忙しいとそうなのかな…?


「え、ツアーはできるの?」

糸村さんに真剣に尋ねる、伊藤さん。
不安そうな表情。

「しないツアーの打ち合わせを誰がする?」

そう言った瞬間互いに目を見合わせ、はしゃぐKISSTILL。

そんなにツアーがしたかったんだ。

「…はいはい、静かに。ツアーが出来るのも小枝さんのお陰なんだからね。感謝しろよ」

「…え?」

「どうゆーこと?」

「資金募ってくれたとか?」

「…いや、資金は売上で十分対応出来るだろ」

「…ったく。スケジュールギリギリだったわけだよ。それを、どうしたら良いか、舞台もドラマも映画もしっかり出来てツアーも出来るように案出してくれたんだよ」

「え、まじ?!」

私が小さく頷くと、嬉しそうな顔を私に向けるKISSTILL。
さっきまで怒っていたはずの山田さんまでもが嬉しそう。

なんだ、簡単じゃん。





…なんて単純な生き物なんだろう。


この単純さは使える。
攻略のための手段になる。


さて、もうゲームは始まっていますよ?


早く気付いて下さいね…