コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Gimmick Game ~僕たちの歯車を狂わせたのは君~ ( No.71 )
- 日時: 2015/10/24 10:05
- 名前: 逢逶 (ID: KG6j5ysh)
episode14
title 消えない炎
一ヶ月経って、報道の熱は冷めていた。
アパートに石をぶつけてくる人もいれば、ドアをどんどん叩いて来る人もいた。
ずっと無視していたらいつの間にか無くなっていた。
悲しい夜を越え、私は進んでいると思う。
大和のいない日々は辛いけど、それでも精一杯強くなろうとしている。
新しい仕事も見つけ、充実している。
毎朝八時に出勤する。
図書館で働いている。
元々本は好きだからやりがいを感じている。
「おはようございます」
早速、本の整理を始める。
大きめの図書館で、棚に戻さなければいけない本の数は百冊をこえる。
ばさばさっ
本が落ちてしまい、ため息をつく。
拾おうと手を伸ばすと、視界に知らない人の手が入って来て落とした本を拾った。
「あっ、ありがとうござい…ま、す」
その人に視線を向けて驚く。
だって、そこには森さんがいたんだから。
「久しぶり」
「え…」
「ちょっと話さない?」
「…は、い」
中庭に行き、ベンチに腰掛ける。
森さんは変わらず元気そうだった。
「…俺ね、蓮のこと好きなんだよね」
「…」
「ごめんね、蒼から聞いたんだ。大和のことまだ好きだって」
「…」
「まだ好きなんだよね?」
私は頷いた。
…うん、好き。
気持ちは燃え上がるばかりで、決して消えない。
会いたいと思う気持ちは強くなるし、会えないという現実を作り出した私を恨んだりもする。
「…蒼がさ、ちゃんとふられに行ったって聞いて俺もそうしたいと思って」
「…」
「ふってくれる?」
「…会えなくても、私は大和が好きで多分ずっとそう。だからごめんなさい。…それから、ありがとう」
私は感謝している。
大和と出逢わせてくれたKISSTILLを。
チャンスをくれた社長を。
ありがとう。
私は、再び仕事に戻った。
清々しい気持ちで。
大和と会えない毎日を少しでも充実したものにするために精一杯生きて行こうと思う。
まだ、炎は消えない。