コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Gimmick Game ~僕たちの歯車を狂わせたのは君~ ( No.73 )
- 日時: 2015/10/24 10:56
- 名前: 逢逶 (ID: KG6j5ysh)
episode16
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今日もいつものように図書館で働いている。
本の整理をして、清掃をして、カウンターに座って…
毎日が同じことの繰り返しだけれどとても充実している。
正午を回って中庭で昼食を済ませて戻ると…、先輩が何やら騒いでいた。
「どうかしました?」
おそるおそる尋ねると、先輩方は紅潮した顔で
「KISSTILLの伊藤大和がいたの!」
と言った。
私は大きな図書館内を走り回った。
会えると思って。
「ぅえーん!」
絵本コーナーで小さな子供が泣いていた。
大和を探すのをやめて、その子の元へ駆け寄った。
大和がいたなんてきっと見間違いだよ。
「どうしたの?」
「ママがいないのぉ!」
「そっか、よしよし。お姉ちゃんが一緒に探してあげるからもう泣かないでね」
その男の子を抱き上げて、お母さんを探すことにした。
「ママどこ行っちゃったかなぁ?」
「ぅん…」
「大丈夫!お姉ちゃんが絶対見つけてあげるからねー」
男の子は可愛らしい顔で笑った。
「あ!ママ!」
男の子のお母さんは、小説コーナーでうろうろしていた。
きっとお母さんがちょっと目を離した隙に絵本の方に行っちゃったんだね。
「あー!良かった!ありがとうございます!」
「いえいえ笑 もうママから離れちゃだめだよぉ?」
「ぅん!」
私は男の子に手をふって、カウンターの方に歩き出した。
「子供の扱い上手なんだね」
聞き覚えのある声がした。
懐かしい。
私はきょろきょろ辺りを見回した。
棚の向こうに誰かがいる。
その誰かはもうわかっている。
「大和…」
私は大和の方にゆっくり歩いた。
あの時傷つけてしまった事実は変わらないから。
「久しぶり」
途端に強く抱きしめられ、私は戸惑いながらもしっかりと背中に手を回した。
「…会いたかった」
私が呟くと
「俺も」
と返してくれた。
確かめ合うようにキスをした。
懐かしくて涙が止まらなくて、嬉しくて笑顔が溢れた。
大和も目に涙が溜まっていて、恥ずかしそうに目を背けた。
「俺、蓮のこと忘れられない、絶対。蓮がいないと生きていけない。…蓮は?」
「ずっと、ずっと…、大和が大好き。…私も大和がいなかったら生きていけない」
「愛してる」
「私も」
再び唇を重ねた。
もう、言葉なんていらない。
二人手をつないで棚にもたれ掛かって座った。
私は大和の肩に頭を乗せて隣にいることを実感した。
「…あのさぁ」
「なに…?」
「俺、言いたいことあってさ…」
「うん」
「全然、準備とか出来てないんだけどさ…」
「うん…?」
「結婚しよう」
___END___