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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: お月様が見ている【更新再開】 ( No.6 )
- 日時: 2015/11/15 14:44
- 名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: xqGPflk1)
第三話 煌
『え、俺の事、知らないの?篠原さんってホント、不思議』
クスッと笑って私の頭を撫でる。
不思議ってどういうことかって聞こうとする前に彼の口が開く。
『でもいいよ。篠原さんになら俺の名前、きちんと教えてあげるよ——』
よく聞くんだよ、一回しか言わないからといういいようにゆっくりと彼の口が動いた。
『真柴煌。特別に煌って呼んでいいから』
にこっと笑うと、彼はせわしなく私から離れていった。
「ましば……こう」
私は彼がいなくなった後、再び彼の名前を呼んだ。
篠原さんは不思議と言っていたけど、貴方のほうがずっと不思議だよ。
私なんかに話しかける人なんてほとんどいないのに。
彼に触られたところを自分でもう一度、確かめるように撫でて、先ほどのことに幸せなのか、心が満たされるようなものを感じ取っていた。
『篠原さーん!こっち、来てよ!!』
クラスメイトのそんな声で私も彼女たちのなかに入ってバスケをしていた。
だけど、暇があれば、真柴君のほうに目が傾いてしまっている自分がいて、驚いていた。
「おかしいな……」
独り言のようにつぶやき、自分の感情に困惑していた。
私は真ちゃんが好きなはずなのに、今は——今の私の瞳には、真ちゃんが映っていなかった——
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