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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: お月様が見ている【更新再開】 ( No.7 )
- 日時: 2015/11/23 16:00
- 名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: xqGPflk1)
第四話 友達になりませんか
あの不思議な出会いからもう早くも五日が経ち、真ちゃんの攻略のために借りた本も早いものでもう読み終わっていた。
結構、分厚くて面白そうな内容かと思ったけど、私にはそんなに面白いとは感じなかったなと思いながら図書室に返しにいく。
「……返却です」
司書の先生に簡単に用事を伝え、カウンターで返却をすませる。
真ちゃんにはなんていおっかな。
面白くなかったと言えば、きっと悪印象を持たれる。でも嘘はつきたくないと思いながらどうしようと考える。
「あれ、篠原さん。偶然だね」
考えながら次に借りる本を本棚で探していると、右横から話しかけてくる。
誰かなと思いながら横を見ると、
「真柴君……」
驚きながら彼の名前を口にする。
「こんにちは。何考えてたの?」
爽やかに微笑んでそう聞く。
『真ちゃんを考えていたの』とさすがにそんなのろけを言うような答えはできるわけない。
「えっと……なに借りよっかなと」
「あははっ、そうだよね。当たり前だよなっ」
苦笑いしながらどんな本を読むのとまた聞かれる。
「……その日の気分に合わせてね。今日は……あまり明るい話読みたくないから」
この本かなと適当にとってしまったのは、前に読んで号泣した失恋がテーマの本。
あちゃあ……、なんでこんなのと思いながらとってしまったのは、しょうがない。
「そんな本、読むんだ」
彼も私の趣味と言うか選んだ本が意外に感じたのか、感心したようにつぶやく。
「ま、まぁ……」
曖昧に返事をしながらカウンターで貸し出しの手続きを済ませる。
「あのさ、篠原さん」
教室に戻る途中、短い距離で話す内容もなく、沈黙が続く中。
彼は思い切って私を呼び留める。
「なに、真柴君?」
少し冷たい対応をとってしまった私にめげず、こんなことを言った。
『俺と、友達になりませんか』
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