コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: お月様が見ている【更新再開】 ( No.8 )
日時: 2015/12/21 15:39
名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: Jk.jaDzR)

第五話 友達って

「友達って私と……?」

へっと顔にそのまま心が映ったようにあほ面をかいているだろう私は、真柴君の言ったことをもう一度聞き返していた。

『篠原さん以外に誰がいるの?』

クスッと笑って廊下を見渡すと、確かに誰もいない。
恥ずかしい……と思いながらなんで私となんかと思わず口から出てしまう。


『だって篠原さん、面白いんだもん。俺、もっと篠原さんの事、知りたい』

そんな彼の言葉にドキッとなぜか胸が高鳴る。
『しりたい』だなんて誰にも言われたことないよ。真ちゃんでさえも言ってくれなかったのに。
真柴君は真ちゃんに尽くしている時の私に似ていて同情とかそういうのじゃなくて、親近感がわく。

「私、なんも取り柄なんてないよ、おしゃべりもうまくないし……。
それに私といたら真柴君……」

そんな私のネガティブな言葉をさえぎってそんなところも篠原さんでしょと言ってくれた。

『篠原さんは十分面白いし、俺は好きだよ、篠原さんみたいな人。
周りの目なんて関係ないじゃん?』

その言葉は私の周りに風がよぎったみたいに私をときめかせるのに十分すぎる恋の風であった。


「じゃ、じゃあ……よろしくねっ、ま、真柴君っ」

ドキドキしながらも彼に挨拶を入れて自分なりの満面の笑顔を見せる。

『うん、よろしく。それから煌って呼んでよ』

クスッと笑って授業へと向かう彼の背中はどこか魅力的でかっこよくて、
真ちゃんよりもずっとずっとたくましく見えた——