ALLジャンルのオリジナル小説、ライトノベル、二次創作、ss小説やイラスト投稿なら「小説☆カキコ」

ねじとは、部品と部品をつなぐ棒状のもので、その素材は金属に多く用いられる。
その上部には時に、ナット、という六角形の部品がはめられ、固定されることがある。

そしてその固定作業を一人黙々と進めるのが日課となりつつあるのが寂しき俺の日常だった。


【初めまして、参加させて頂きました。俺とか言ってますが性別はどちらでも構いません。よろしくお願いします】

あまり器用な方ではないのだが、ナットをスパナで固定する作業には、力加減以外、技術を必要としなかった。


【こちらこそよろしくお願いします。結縁さんが一人称を〝俺〟と決めた以上、男で行きましょう。以前の設定を引き継ぐのもルールですから。】

「この作業も随分と慣れたな……」


【了解しました、所で台詞の場合は上記の様に台詞だけで一行扱いなのでしょうか。それとも台詞はカウントされず描写も書くことで一行扱いなのでしょうか。そこが分からなかったので教えて頂ければと思います】

当初、ねじにナットをはめ、スパナでもって固定するのは、ねじの自由を奪っているようで、あまりいい気はしなかったのだが、ねじを有るべき姿に正していると思うようになってからは、気にも留めなくなった。
【はい。台詞だけで一行扱いということでお願いします。ルールの方に付け加えておきました。ご指摘ありがとうございます。】

「おかげで、今ではすっかりこれ一筋なわけだ」


【いえいえ、台詞で一行了解しました。他にも参加する方が増えるといいですね！】

とはいえ、ねじやナットにも様々な種類があり、それによってスパナを使い分けたりなどするため、そこまで単純な作業でも無く、未だに飽きたことはない。


【はい。雑談提示板の宣伝ＯＫなスレで呼びかけているのでそのうち増えてくれると思います。それと今気付いたのですが、この一行リレーはこの先の展開が自分でも掴めなくて面白いですね。導こうにもたった一行ですし。】

要するに俺はこの時間が好きな訳だが……そんなふうに過ごしていると時間の感覚もなくなるわけで、昼食も取らないまま今はもう夕方だという事に気がついた。


【なるほど、それなら時間の問題で増えますよね！　確かに先が読めず常に展開が変わるのが魅力かもしれません】

【参加するぜよ】

腹も減ることなく過ぎていく時間は端から見れば惜しいものだが仕事と思わず好きな趣味に近いように考えると全然無駄には思えない。

【雑談板ではおなじみ(?)、コメライ板では初めてかな】
【あげはです、よろしく】

そんなことに熱中しているせいか、友達も少ないような気がする。

最後に誰かと食事したのは何時だったか……そんな考えがよぎった時、日の沈み始めた外に見慣れた影を見つけた。


【お二方、よろしくお願いしますー】

「またアイツか……」


【よろしくお願いします！】

声をかけると、美しい黒髪をなびかせて、彼女は振り向いた。


【別に付き合っているというわけではありません。皆さんよろしく！ うちは基本的に誰でも大歓迎ですが、ビタミンB2さん、間違えてしまった文は消していただきたいです・・・・】

幻想的な雰囲気の彼女は、決まって黄昏時のこの時間俺の前に姿を表す。

【消しました！　よく見たら削除ってありましたね……私のバカ……】

彼女はにっこり笑い、こう言った。

「お仕事お疲れさま♪これ飲む？」

【このテは好きである】

「……なんだこれ？」


【こういうのも面白いですよね】

渡されたのは夕日をそのまま切り取ったかの様な、そうまるで彼女の雰囲気をそのまま体現したかの様なそんな不思議な香りと色合いをした飲み物だった。

「これ……飲んで死なないよな？」

【謎の飲み物の正体次に任せた】

「失礼ね、死ぬわけ無いでしょう？　それよりも早く召し上がれ」


【更に次に任せます←】

　訝しみながらも、若干強い口調で急かされ、つい口にしてしまう。
　炭酸のようなはじけた音がして、口の中全体に、ほのかな甘みが広がる。
「どう？ おいしい？」

【皆さんこんにちは、全州明です。今日からニセモノ対策のためトリップを付けました。それからルールを一部追加、変更いたしました。飲み物の味は次の方よろしく！！】

「ああ……だけどこれ、何で出来てるんだ？」


【任せます(笑)】

「ブラッディ・マリーっていうお酒———を水で千分の一に薄めたやつ」


【ビタミンＢ２さんありがとう！！ ちなみにブラッディ・マリーというお酒は実在します。真っ赤な色をしていて、千分の一に薄めれば、ちょうど夕方みたいな色合いになるかと。参加者募集を消しただけなのに、どうしてみんな急にいなくなってしまったんでしょうか？】

俺は、酒が入ったコップを夕焼けにかざしてみた。


【格好いい名前のお酒ですね。　みんな来ると思いますよ？】

相変わらず恐ろしいほどの夕焼け色は、まるでコップの中身が無くなったかのように、景色に見事に溶け込んだ。


【早く来てくれるといいなぁ。ちなみにブラッディ・マリーは、実在したある国の女王のあだ名で、その血塗られた歴史に基づき、血のように赤いお酒に、ブラッディ・マリー(血だらけのマリー)と名付けたと思われます。
あぁ怖い。】

「綺麗でしょ？」


【イングランド(？)の『血まみれメアリー』ことメアリー一世の事ですね。怖いですねぇ。】

「あぁ、でも、味薄いな」



【千分の一に薄めているという設定なので、味は薄いということで。】

「じゃあ今度は濃いものにしましょうか」

「いや、・・・・それはいい。俺酒弱いし」


【小玉　舞子さんへ　はじめまして、でしょうか？ 別にコメントをしてはいけないわけではありませんので、使いたいときは次回から【】をつけてコメントしちゃってください。】

【初めまして！参加させていただきます】

「…だったら、薄いな　なんて言わないでくれる？」


【うおおお、あと一文書きたい！！】

少しむすっとしたような顔で言ってくる。

【おお、参加人数増えましたね！】

いや俺が酒弱いって知ってて勧めてきたお前が悪いだろ、と言いたいところだが、それはよしておくとしよう、多分蹴られる。



【栗おこわさんへ　はじめまして。全州明です。しょっぱなから見事な切り返しですね。凄いです。そして後に続くビタミンB2さんの描写、息ぴったりですね。今後もよろしくお願いします。】

「ねえ、ちょっと時間……空いてるかな？」


【私ももう一文書きたい………！】

「なんだ急に」


【一、二時間以上誰も続きを書かないようなら僕のように続けて書いていただいて構いません。 ただし一、二時間以上誰も書かないことなんてめったにありません。皆様のおかげです。感謝します。】

「……ちょっと、付き合ってほしいんだけど」


【とか言ってるそばから一時間経ってしまった・・・・誰か来て！！】

「どこにだよ。」


【昼寝してた(笑)】

「どこってゆうか、その……」


【どうしよう。この先が思いつかない。誰も書かなかったら編集の神に電話しなくちゃ。】

彼女は言い淀むが不意に、口元を歪ませるとニヤリと笑って……「私と一緒に、同じ存在になって」とそう言った彼女の姿はみるみる内に夜闇に溶け込む人ならざる者と変わったのだった。


【人ならざる者……妖怪とかそういう類ということで……】

「冗談、だよな？」


【いくらなんでも妖怪というのはちょっと・・・・無理にとは言いませんが、もう一度考え直していただきたい。】

「冗談に決まっているでしょう？」


【という事にしました】

「・・・・だよな。びっくりさせるなよ」


【ありがとうございます。無理言ってすいません。】

「おーい、お嬢ちゃん。『怪物に変身ごっこセット』のお釣り忘れてるよ〜」

「おい、呼ばれてるぞ」


【そうきましたか。予想外の展開にびっくりです。目次がずれてしまうので、今度からはなるべくひとまとまりにお願いします。】

お釣りを受け取り終わった彼女は、ついてきてほしい、と俺の手をいきなり取った。


【2〜3日ぐらい出掛けるので書き込めなくなって残念です。今度来た時、どんな展開になってるか楽しみにしてます！

おもちゃを買ったのがバレて恥ずかしいのか、頬が赤く染まっていた。


【ビタミンＢ２さん行ってしまうのですかぁーーーーーーー！！ どうしよう。誰か、続きを書いて。】

追求してやろうかと思ったが、こういう時はそっとしてやった方がいいか、と思い直し黙って彼女に引っ張られることにした。

【不定期で、ビタミンＢ２さんの代わりにはなれないと思いますが、なるべく参加します！】

周りからくすくすと笑い声が聞こえてきて、俺まで恥ずかしくなってきてしまう。


【栗おこわさんありがとうございます！！ 助かります！ 他の方もご協力をお願いいたします】

一体どこへ向かっているというのだろう、皆目見当もつかない。


【誰か来てくれぇ〜！！】

そう思いながら、ちらりと彼女の方に視線をやると、ばっちり目が合ってしまった。

【目的地決める力ないんでおまかせしたい…どんな所がいいんでしょう】

お互いすぐに目をそらしたが、ふと、気になってしまい、もう一度見ると、再び目が合ってしまう。


【ありがとうございます！！】

そんな事を何回か繰り返しているうちに、どうやら目的地が近くになったらしく、彼女は歩くスピードを上げた。

辺りには相変わらず住宅が並んでいるが、その間に、ちらほらと、店が現れ始めており、商店街が近いらしい。

「何か買いにでも行くのか？」

「まぁ・・・・そんなとこ」

彼女は、いつもより機嫌良さそうに言った。

【他の方も参加してくださるといいんですけどね…題名で「参加者大募集！」と書いてみては！？】

どこか、照れ隠しのようなぶっきらぼうさもあった。


【なるほど。確かに最近参加者募集と書いてませんしね。】

次の瞬間、今までの流れをすべてすっぱ切るように彼女は「着いた」と言葉を放った。

【すみません、目的地おまかせします…＞＜】

どこからどう見ても、なんの変哲もない住宅の前で。


【そこのドアから地下のどこかへ繋がるとかもありです。続きはおまかせします。】

話しかけようとしたが、直前に彼女にぐいっと引っ張られ、言葉を飲み込んだ。

【ごめんなさい、書けなかったとです】

彼女が開けた扉の先には、下へ続く灰色の階段があった。


【おばんです！　夜分遅くすいません！　帰って来ました！】

下りて行くと、天井に切れかけた蛍光灯のぶら下がった薄暗い通路があった。



【お帰りなさい！】

「何か、薄気味悪いな……」


【十一時まで寝てました(笑)。全州明さん、栗おこわさん、私の分までありがとうございます！】

　いたるところにクモの巣が張っており、かなり埃っぽくもあった。


【いえいえ。参加を頼んだのは僕ですから。書いていただけるだけでめちゃくちゃありがたいです。
おかげで参照数がもう５００近くなってますし。皆さんには本当に感謝しております。】

向こう側から、何やらカン、カンと音が聞こえてくる。


【私も参加できてうれしいです！　音の正体は後にお任せです】

薄暗い・蜘蛛の巣・埃がかぶっている・地下という「あれ」がでる条件は揃ってしまっている。

【ビタミンB2さんお帰りなさい！】

しかしこの音は、「あれ」にしてはやけに生活感があるうえ、彼女は身じろぎひとつしていない。


【栗おこわさんありがとう！！ 続きが思いつかなかったんですよね】

「…ねえ。くっつき過ぎ」

【いえいえ！】

「え？ あぁ、悪い」


【この小説って結末どうなるんだろう。全く想像がつかない。というか未だに「５ｍｍスパナ」が何の話なのか説明できない。そんな僕ですが、今後もよろしくお願いします。】

「もしかして、怖いの？」


【栗おこわさんただいまです！　この５mmスパナ、いい物語になると信じています！　どうなっても結末まで見届けますよ。】

彼女がわざわざ、バカにするように笑った。

俺はうまい言い訳が思い浮かばず、苦い顔を浮かべる。


【大丈夫です。僕がネットに投稿した作品で、今まで終わらなかったのは元から終わりのない日常系の一つだけです！ 何としても終わらせて見せます！！ 書き込める限界(千)を超えるまでに終わらせられなければどうしようも有りませんが・・・・】

彼女は、そんな俺の顔とは対照的ににやっと笑うと、俺の手を引いて歩くのをスピードアップさせる。

以前から気になっていたのだが、彼女は俺の手を握ることに何の抵抗もないのだろうか。

乱入〜(>_<)

俺はこんなにも恥ずかしい思いをしているというのに。


常識知らずですいません。入ってもよろしいでしょうか？

【参加者は募集中なので入っていただくのはうれしいのですが、コメントは必ず【】の枠内でお願いします。】


俺には脈なしか・・・・


【というように、本文のみ【】をつけずに書きます。くわしくは一番上のルールを】

ため息をつく俺に彼女は言った。


【分かりました〜。いきなりすいません・・・】

【初めまして！面白そうなので参加させて頂きます！】

「このカン、カン、って音何だと思う？」

いたずらっぽい笑顔で聞いてくる。


【おおっ！　盛り上がってますねえ！　よろしくお願いします！】

「は、はあ？この音？」

あ、白猫、黒猫＝同一人物です

よく聞いてみると、それは聞き慣れたような金属音だった。

【トリップつけてみました】

「・・・で？この音がどうかしたのか？」

「・・・・いや、何でも無い」


【志木圭介さん、黒猫(白猫)さん、今後とも、よろしくお願いします！】

じゃあなぜ聞いたんだ。意味もなく・・・


【はい、よろしくお願いします(*^_^*)】

俺の心の声が届いたのか届かなかったのか彼女は黙って俺を先導したが、やがておもむろに立ち止まった。

【よろしくお願いいたします！】

「…あ、いた」

【「あった」がいいのか「いた」がいいのか悩んだのですが、上の様にさせて頂きました。「あった」の方がいい展開でしたら変更します】

彼女の視線の先にいたのは、ハンマーで釘をうつ高校生くらいの少女だった。

その少女は振り返ると、彼女を見るなり目を輝かせた。

「久しぶり、夕香！」


【ゆうか、です。これでいいのかよ私】

「久しぶり、優希」




【多分いいと思います。私もこれでいいのか・・・】

「何年ぶりだっけ！？」


【設定を変更いたしました。訂正等ありましたらご報告を。】

「うーん。２，３年ぶり？」

しばらく再開を喜び合っていた二人だったが、優希と呼ばれた少女は、俺を見ると疑問を発した。

「あんた誰？」