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「俺ってなんて名前だ？」

「「……えっ」」

さすがは幼なじみというべきか、こういうとき、やたらと息が合う。


【すいません。しばらく来れなくて……まさか繋いでくださっていたとは。ありがとうございます。これからは多分来れると思います。】

……頭大丈夫かコイツというような目で見ないでくれ頼むから。

なぜかは知らんが本当に思い出せないんだ……


【そう言えば名前決めてなかったっけ。】

「いや……え？本気で思い出せないの？」
【決めちって いいっすか？】

「あ、あぁ……」


【どうぞ。】

「「またマジで忘れてるとかあり得ないじゃん裕斗！」」
【読み方は ゆうと です。駄目なら変えます】

二人はほとんど叫ぶようにして言った。



【友達の名前と同じ……ですがもちろんＯＫです。そういうルールですからね。僕に断る権限はありません。今までの流れを逸脱するような展開でない限りは。】

【ありがとうございます！(登場人物の全員の名前が「ゆう」で始まっている)】
……その時。

脳内にしびれるような電撃が走った。



【あぁ本当ですね。気付かなかった。ナイスアイデア！】

「……っ！」

思わず額を右手で覆う。

声を堪えた事で他の客の視線を引き付けるような事は無かったようだが、元から此方へと心配(という名の呆れ)を向けていた２人は同時に俺へと視線を向けた。

咄嗟の行動とはいえ、少し大袈裟だったかもしれないと、微かに後悔の色が滲む。

「あー、えっと……」

慌てて取り繕おうとここと見るも、それらしい言葉が浮かばない。

少しだけ、顔が赤くなってしまった。

【お久し振りです。トリップつけました。】
【祐斗が可愛くなってしまいました。何かごめんなさい！】

何故俺はこんなにも恥じらう必要があるのだろう。

【お久しぶりです全州です。多少の事なら伏線にしてしまえば問題なし！！
それが僕の最終兵器でもある。(笑)】

「……な、何があったの……」

夕香がなぜか少し引き気味に聞いてくる。

...今からなんですが、入りたいです(^O^)／

【もちろんOKです。いつでも〝超〟参加者募集中ですから。】


さすがの俺も、少し傷ついた。


【↑こちら本文です。】

「知るかよ……」

何とか平静を装おうとするも、声に覇気が出ない。

ああ、もう帰りたい。

思えば俺がなぜこのバーまで連れて来られたのか、未だに不透明だ。


【SS大会、始まりましたね。僕も渾身の新作を投稿しました。】

「何で夕香が俺の仕事場にいたのか、もな……」

【ＳＳ大会……文才無いから出来ないっす……】

「なんか言った？」


【夕香の台詞です。独り言の返しと言えばやっぱりこれですかね。】

「……いや、何でもない」

【独り言の返しの返しといえば！】

「そう。ならいいんだけど……」



【独り言の返しの返しの返しと言えば！】

「「「……」」」

【元から何も喋ってない奴が約１名……】

そして誰も話さなくなった。



【例の奴です。】

【あが……】

他の客は もう１組しか座っていないようだ。

本当にガチで帰りたくなった。

【皆さん頑張ってくださいね！】

「もう帰っ……」

【さく……】

「待って」


【応援ありがとうございます！！ ……あがさく？ アガサ・クリスティ？】

「はい？なんでしょうか？」

【予想外な感じで呼ばれて敬語に……SS大会かー。文才ないから出来ないなー。SS大会頑張って下さいねー】

思わず間の抜けた声が出る。



【一応描写で補ってみました。
　SS大会、頑張ってはいるのですがどうも票が伸びなくて……あれって何位まで発表されるんですかね？】

「忘れた事、知る前にそのまま帰るつもり？一生後悔すると思うけど？」

【あっ全部言う前にバレましたか……】

「ん？」


【と言いますと？】

思わず聞き返すも、夕香は黙り込んだまま、中々話そうとしない。

……突如として、練習したかのようなタイミングで優希と夕香が同時に椅子から立ち上がる。

【いえ、あがさくの話ですのでお気になさらず！】

やはり仲がいい。


【あぁ、なるほど。あれは冗談のつもりだったのですが当たっていたのですね。】

・・・何をするつもりなんだろうか？

【お久です！長い間来れなくてすいません】

【いえいえ、僕も結構飛び飛びなんで気にしないでください。ちなみに下のは夕香の台詞です。】

「あんたはもう、覚えてないだろうけど、……あんたは、私の、私の…」

【いよいよこれで主人公の過去(？)が明かされる！？ 続きはもちろん次の方にお任せします。
途中参加ももちろんOK！ 早い者勝ちですよ！!】

【おひさしぶりです。全っ然来れなくて…！書けそーな内容だったので！】

「彼……」

【わざと言わせない！！さぁ、続きは次の方！お願いしますよ！？】

「し……」

その声は、小さく、絞り出したような声だった。
夕香の顔は赤い…俯いたままのため、あまりわからないが。

【ものすごくお久しぶりです！】

【おぉ！！ お二人ともお久しぶりです！】


もう何度目かわからない沈黙が降りたが、不思議と悪い気はしなかった。

【これは一応一行リレーなんで次回からは一行でお願いしますね。
まぁ僕もよっぽど誰も来ないときはまとめて書いたりもするんですが、一応。】

「なの……」



【もちろん夕香の台詞です】

ようやく頭が追いついて、その言葉の意味が、瞬間的に脳内を満たす。


【たまにはちょっと格好つけてみる。】

と、同時に、混乱という名の余計なものまで脳裏に広がっていく。


【すいませんでしたｗ言いたかったんですｗここだけはｗ】

「あ……ぇ……？」

【お久です！(このスレそればっかり)】

【同じくお久しぶりです全州です。ただいま帰りました。三日ほど実家に帰っておりました。】


かのじょ、カノジョ、Ｋ・Ａ・Ｎ・Ｏ・Ｊ・Ｙ・Ｏ、……彼女！？


【主人公の脳内での流れを表しております。】

思えば夕香はなにかと俺につっかかってきたな。

だからここに呼ばれたのだろうか？

【お久しぶりです（2回目）。全州さんぷよぷよのりんごみたいですねw
それにしてもこのスレは良い雰囲気ですよね。尽きることが無いって言うか。】

【ごめんなさい僕ぷよぷよわかんないです……】


だとしたら、今まで散々はぐらかされたのも頷ける……


【おぉ！ まさか良い雰囲気だなんて言って下さる方が現れるとは！ 感激です！！
日付を見て頂けるとわかりますが、実はこのスレ、幾度となく滅亡の危機に瀕してきたんですよね(笑)。
僕はこの通り口下手で、雑談提示板ではいつも長続きしなくて……
でも、この一行リレーなら会話なしでも続けられるし何とかなるかなぁって今の今まで何とか繋いできたんです。
そのかいがありました。
本編より長くなってしまってごめんなさい。】

【しょうがないですよ一行ですもん。私も長くなりますから。】


「そんなに考えてるって事は忘れてたのね……」

【夕香のセリフです。】


【リレー小説ならではかも知れませんが無駄が無いって言うか……
私は複ファ板と二次小説（紙ほか）、別館の社会問題系で小説を書いているのですが、オリキャラの募集をするとどうしても余計なレスが出てしまって読みにくいんですよね。コメントが無いのも寂しいですし……
気軽に参加出来るこのスレは一行だから簡単で雰囲気が良いなーと感じたんです。】

【私のスマホフィルタリングかかってて作家プロフィールは書けない行けない、雑談掲示板行けないって状態なので宣伝みたいになってしまって……申し訳ないです……】

【なるほど。自分で言うのもなんですが、確かに無駄がないですね。書きやすいが故の利点ですね。】

「あ、いや、それはだな……」


【あぁいえいえ。宣伝は問題ありませんよ。僕も良くやるんで。
ＵＲＬ欄に張り付けておけばどこでもさり気なく宣伝できるのでお勧めですよ(笑)。】

ある意味図星だ……

【さりげなく宣伝。
図星という言葉を使いたかったので書いてみました。】

取り繕い方がぎこちなくなってしまった。

【小説の作者の名前が違って戸惑った方もいたと思いますのでどの掲示板でも名前を統一しようと思いまして(^_^;)。改めましてこんばんは、バラバラです。】

【連続で（しかも時間空けて）書いてしまいました。すいません。（すいませんって一杯言ってる……）そして優希が出てこないのに気付いてしまった……】

【いえいえ。作者名変更は重要なお知らせなので全然構いません。】

「そうなの？」

【……確かに、いくら従業員とはいえ出番少ないですね。というわけで優希の台詞です。】


【祝★参照数四千越え！！ 皆様のご協力をお持ちしております。いつでも乱入ＯＫです。
(時間帯的に来られないこともあるので返事が来ずとも勝手に進めちゃってください)
今後とも、よろしくお願いいたします。】

「……あ〜……あのな……」

ことがことなだけに、正直に言うのはためらわれるが、はぐらかすのもそれはそれで夕香が傷つくような気がする。

「夕香泣かないで！まだ「忘れた」って言ってないから！裕斗も早く答えな！」

やばい優香もう涙目だとりあえず何か言わねぇと……


【次の方に丸投げ(笑)。】

だが焦れば焦るほど、答えが遠のいていく。


【ハッピーバースデー僕。】

優香の目にだんだん涙がたまっていく。

【もう涙が溢れるくらいに。と自分の中で完結（笑）。全州さんおめでとうございます！】

何か、何かないのか……


【どうもどうも。といっても僕は親に誕生日だと言われてやっと思い出したような人種なんですけどね。】

「その、なんて言うか、忘れたわけじゃあないんだけどさ……」

「あんまり人前で言うのも、何かなと思ってさ」


【お久です。】

よし、この方向でいこう。


【少子化、か……】

「……」


【……優香の台詞です。】

「…………」

【同じく。
超絶参加者募集だったのでヤバと思って来ました。お久です。】

優香の眉間にしわが寄っているが、悩んでいるのか、それとも……



【お久です。過疎化、進んじゃってますね。ここじゃ周期的にこうなるんですけどね。(笑)】

……優香がダンッと机を叩く。

【お久です】

店内もろとも、一瞬にして静まり返る。



【あ、どうも、お久です。……流行語になりつつあるな。】

怒って……る？

【お久です。確かに流行語ですねw】

【本当、困りましたよね。あ、お久です。(笑)】


店内は、静寂と言うにはあまりに刺々しい空気が漂い始めている。


【怒っているのかいないのかは、次の方次第です！！ よろしく。】

「……勘違いしないでよ？怒ってないからね？」

【ニコォ……】

「そ、そうかぁ……？」


【今日は３月１９日。そう、細工の日！！ なんかやだな……」

怒っていないのならさっき机を「ドンッ」としたのは何だったのだろう？

いや、待て、今は下手な事を考えない方がいい、顔に出る……


【最近ルビ対応版が出始めましたね。そのうちここも旧コメディ・ライト提示板になってしまうのかな？】

ここはひとまず……

【いけない。作った本人が更新を忘れていた。(笑)】


……不意に、手の甲にひんやりとした感触が当たる。


【再開します。続き書く人急募！】

朝はみんな納豆を食べよう

体にいいぞ！！先生もおすすめだ！！！

【すいませんが次回からは一文でお願いします。そう言うルールですので。】


沈黙に包まれた店内に、突如ポップ調のBGMとともに流れ出した異様に明るいテレビCMは多分、見かねた優希が気を使ってくれたのだろう。

「まぁ、その、あれだ。とりあえず……飲めよ」


【だーれーかいないのかっ！】

「はぁ？ あんた、またそうやってごまかす気でしょ？」


【夕香の台詞です。最近夕香が変換すると一発で出てきてくれるようになって時の流れを感じています。】

とはいいつつも、夕香はちゃっかりグラスに手を伸ばす。


【誰か続き書きませんかっ！ また僕が書いちゃいますよ。】

このグラスの中身を何処かで見たことがあるような気がする。

【どうも。いい繋ぎ方が思い付かないのでこうなりました。】

あぁ、そうだ、確かあれは……俺が止めようと手を伸ばした時には、夕香は既に、口をつけていた。


【ありがとうございます！ いえいえ。全然問題ありませんよ。】

「……千分の一に薄めてないブラッディ・マリー」


【つまりストレート。】

夕香は一口飲み、こう言った。

【台詞お任せしまーす(*^-^*)それにしても夕香お酒強いな千分の一に薄めないとは……】

「ヒック……大体あんたはれぇーひつもふうき読まなさすぎなほよ！！」


【そうでもないようです(笑)】

紅潮した、というか真っ赤に染まった頬を見なくとも一目で分かるくらいに、夕香はものの見事に酔っぱらっていた。

【お久しぶりですー】

「……飲みたい……」

【優希の台詞です。未成年だろうなーと思い】

「じゃあのへは（飲めば）？」

【お久です。
夕香が酔っ払っているので調子に乗らせました】

【お二人ともお久しぶりです！】


「え？ いや、でも……」


【法的な面を考慮して(笑)】

「いーのいーの！あたしらだって飲んれんらからさあ！」

【敢えて訳文は書きません(面倒なだけ)ｗ】