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- Re: 星屑チョコレート【短編集】 ( No.1 )
- 日時: 2015/03/28 21:33
- 名前: 蒼 ◆udrqXHSxjI (ID: A9wxTbZM)
【 愛とか恋とか要らないけど。 】
『好きな奴が出来た』
それは、とある夏の夕方だった。
日射病になりそうなくらいの暑苦しい日差しを受けながら、私は1人、自分のベッドで横になっていた。
『ねぇ、協力してよ。親友だろ?』
携帯の向こうから、相変わらず高めの声が耳に響いて来る。
出来る事ならば、今直ぐにでも電話を切ってしまいたい。そして、このまま眠りにでもついて、全て忘れ去ってしまいたかった。
「……何で私なの。他の人にでも頼んでよ」
出かかった言葉を飲み込んで、それとは違う言葉を喉から出すと、君の少し不機嫌そうな声が聞こえた。
『だって、他の奴に頼んだら、絶対冷やかされるしさぁ。お前だったら、色々大丈夫かなって。一応、女だし? あ、何、面倒臭いのかよ』
「違うよ、そうじゃない」言いかけて、また飲み込む。窓から差し込んで来た光に一瞬、眩暈を起こした気がする。あぁ、このまま倒れてしまったら、どれだけ良いのだろう。君の焦った声を想像して、瞼を閉じる。
『おい? 聞こえてるなら返事しろよ。ほら前に、数学ノート見せてやっただろ。だからさ、協力してくれよ。俺、こんなの初めてだから、解らなくて』
「それ、分野が違うから」
自然と開いた口から出て来るのは、きっと私が伝えたい事の半分も言えてはいないのだろう。ゆっくりと瞼を開けると、今度は君が電話越しで必死になって引き受けさせようとしている光景が浮かんで来る。
「…………良いよ、分かった。その代わり、明日歴史ノート見せてよ? これ条件ね」
そう言うと、君が「やった」と笑っているのが伝わって来た。その後、何を話していたのか覚えていない。大方、相談の件についてだろう。気が付くと君の声は聞こえなくなっていて、片手にはただ、小さな携帯が握り締められていただけで。
それを少し見てはまた、私は瞼を閉じて、消え入りそうな声で何かを呟きながら、意味も無く笑った。君が今、どんな顔をしているのかを。そして、その顔が一体、誰に向けられているのかを知らないまま、暗く、深く、冷たい何処かへと落ちて行くのを感じていた。
*
はい、凄く短いですね。
このお話は「失恋」がテーマです。とにかく失恋話が書きたかったんです。
好きな人と仲良くなり過ぎてしまうと、その人から逆に恋愛相談をされてしまったりもします。多分。私はそういう事、今まで無いのですが。頼りないからか?
そんな時、一体どういう風に話したら良いのか。コレ、とても難しいと思います。相談されるという事は、頼りにされている訳ですから、相手にとっては「親友」な感じなんですかね。
親友で良いから傍にいたい。私がもしそういう立場になったら、どうするかなぁ。うーん。