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- Re: 星屑チョコレート【短編集】 ( No.11 )
- 日時: 2015/06/26 15:38
- 名前: 蒼 ◆udrqXHSxjI (ID: A9wxTbZM)
【 それを人は愛と呼ぶ。 】
私の1日は、君がいるから存在するの。
君の1日も、私がいるから存在しているでしょ?
「ねぇ、歩(あゆみ)。好きだよ、大好き」
「知ってるから、静かにして」
その言葉に意味はない。
別に静かにした所で、この部屋にいるのは私とこいつ。黒羽蓮(くろは れん)だけなのだから。大して良い事も付いてこないし。でも、こいつはバカだからそんなの解りっこない。何時も通り、項垂れているのが横目で確認出来る。全く、もっと頭を使えば良いものの。私が嫌がる訳ないだろうが。
今日何度目かの溜息が漏れる。バカ男に対してもだが、素直になれない私自身にも呆れ返る。何とかならないかこれは。
「あ、歩が好きな俺って……迷惑?」
私の袖を弱く、でも振り払われない様にして握る蓮。抱き締められている風な体勢に自然となる。小さく震える唇を動かして、涙目になりながら必死に抱きついて来るこいつは、本当に変だ。変過ぎる。
いや、それ以上に——
「…………迷惑じゃない、けど」
「えっ、やったー!」
そんな奴に「嬉しい」なんて思ってしまう私の方が、変に決まっている。可笑しい、何でこんなに思ってしまうのだ。
少し癖のある薄茶の髪を揺らしながら、私に擦り寄って来た。「いい加減にしろ」と思わず口にしてしまいそうだが、何とか止めた。嫌ならともかく、そうじゃない私に言う権利なんてないのだから。
*
動かないと思ったら、こいつは深い眠りについていた。泣いたり笑ったり、本当にバカな奴だ。だから、こんな奴だから、仕方がない。少しの間だけ膝枕でもしてやろう。バカも1人じゃなくなれば良くなるから。
「……起きるまで。それだけだから、勘違いしないでね」
そうだ、これはこいつの所為だ。意外と寝顔が幼いとか。結構可愛らしいとか思っていない。全然思って…………いないの。
気が付くと私も、君と一緒になって目を伏せていた。
ほんの少しだけ何時もより安心して横になれた気がしたのが、悔しいけど何だか温かい。
*
素直になれない女の子を書きたかった。
そういう子って可愛いですよね、何だか。ツンデレ女子には甘えん坊男子が合うと、勝手に思っています。ツンデレの子って、案外面倒見が良いと思うので(かなり失礼)。とにかく、歩の様なツンツンしている女の子を書けて、今、凄く幸せです。