PR
コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 星屑チョコレート【短編集】 ( No.12 )
- 日時: 2015/03/31 11:05
- 名前: 蒼 ◆udrqXHSxjI (ID: A9wxTbZM)
【 電話の先のホントの君 】
「ねぇ」
思ってもいない言葉を吐き過ぎて、どれが本当なのか、自分ですら解らなくなった。馬鹿げている? 確かにそうかも知れない。でも、暗闇の中では『それ』が何なのか区別もつかなくて。
手にしたものが必要なのかも解らない程、無理に走り回って、溺れかけた事もあった。意味も知らずに。……いや、最初から意味何てないのかも知れないけど。
それでも、只管追い求めていた。『それ』をずっと、理由も無くさ。可笑しいね、何処かで諦めれば良かったのに。探しちゃうんだもん。阿呆らしい? あぁ、自分でも今となってはそう思うよ。ただ、何かを欲しいが為に、沈んで行くんだ。海より深い、まるで底なし沼みたいな所へ。怖いか? うん、怖いよ。名も知らぬ所で沈んで行くのを、想像するだけで怖い。震えるよ。
でも、あの時の僕は、勇気を振り絞って泳いだんだ。見えない岸に向かって。え、ダサい? 煩いなぁ、少しくらい格好つけさせてくれよ。まぁ、自分でもそう思ったけどね。そんな事より、結局岸には辿りついたのか? そんな事って……良いけど。そうだよ、辿りついた。何とか助かったよ、ギリギリ。それでさ、見付けたんだ。遂に。僕が求めていた『それ』が。え、もったいぶらずに早く言え? 酷い。ごめん、言うから許して。
僕が求め、見付けたのは——
「好きだよ」
*
実はこの話のタイトル【 電話の先のホントの君 】は、私ではなく妹につけてもらいました。私が無理を言って「何でも良いから……考えて……」と泣きついた所、電話機を見て思い付いたそうです。結構気に入っています。が、何故か大事な「電話」という文字が出て来ていません。多分、最初と最後の方を見れば解ると思いますが(笑)
PR