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Re: 星屑チョコレート【短編集】 ( No.2 )
日時: 2015/06/30 07:59
名前: 蒼 ◆udrqXHSxjI (ID: A9wxTbZM)


【 君に注ぐ哀情 】

※ヤンデレ出現注意報


——痛い。


 ふら付く頭を両手で押さえながら、辺りを見回す。
 痛みからか視界がぼやけていて、きちんと映らないが、どうやら此処は何処かの車庫の様だ。残念ながら車が止まっていないので、断言は出来ないのだが、この暗さと匂いは多分車庫か何かだろう。
 目を何度擦っても、はっきりとは映らなかった。仕方が無い、此処が何処なのかは諦めよう。見えないのでは話にならない。
 
 そう考え、片手で適当に何かないか手探りしてみると、少し、いやかなり堅い棒みたいな物に触れた。鉄製の様だ。これで殴られでもしたら、きっと、ただ事ではすまないだろう。そんな事を思っていると、この棒の先に何かが付着している事を知った。
 何だろう、少々生温かい気もするが。まだしっかり見えている訳ではないのだが、赤っぽい様にも見える。絵の具かペンキだろうか。いや、どちらにしても、こんなに温かくはないだろう。では、一体これは何なのか。思考を巡らすが、結局この付着したものが何なのか解らなかった。


「……っ!」

 いきなり頭に激痛が走った。
 両手で押さえるが、痛みが消える訳でも無く、瞳から頬に何かが伝った。両手を離してみると、そこには溢れんばかりに先程の棒と同じ色のものが付いていた。心臓が破裂しそうだった。
 そうか。これは、これは——


「あーあ、解っちゃったの? もうちょっと、遊んでいたかったんだけどなぁ。早いよ、気が付くの。ま、予想はしてたんだけどねー」


 背後から不気味な低めの笑い声や舌をなめずる音と共に、暗闇に溶け込みかけている人影が現れた。「誰だ」と問いたい所だが、尋常じゃない痛さで口が利けない。出て来たのは、赤らんだ液体だけ。それを見た人影は、高笑いをし始める。それはもう、愉快そうに。
 何とか片目を瞑って、その人影全体を見ようとしてみるが、その前に何処からか流れ出した霧の様な薄煙と、有り得ない程の眠気によって、捉えられなかった。
 閉ざされて行く視界の中で、その人影がゆっくりと此方に進んで来るのを感じた。触れられる近さまで来、口が少し開いたかと思えば。目に見えるもの、耳に聞こえる音、その全てが、ショート寸前のテレビの様に、まるでそれが当たり前だったと告げられた感覚で、息も出来ず沈んで行った。


「……嫌だなぁ、これでお別れなんて。夢の中でも楽しく遊ぼうね? ダイスキ、愛してるよ。——永遠に」
 
 


 
 はい、ヤンデレです。
 もうコメディー・ライト創作で書いて良いものじゃないとは思いましたが、短編集を作ったら絶対に書く! と決めていたので、書いてしまいました。
 一応、タイトルの下に「 ※ヤンデレ出現注意報 」と書きましたが、もしも苦手なのに見てしまった方がいらっしゃったら、ごめんなさい!!