コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 星屑チョコレート【短編集】 ( No.25 )
日時: 2015/04/04 11:09
名前: 蒼 ◆udrqXHSxjI (ID: A9wxTbZM)



【 閉ざされた扉の隙間で。 】
※暗い、重い、色々注意報


 悲鳴にも似たソレを間近で聞くと、やっぱり胸が痛かった。そして同時に腹が立った。
 彼女を哭かせてしまう自分に、彼女を抱きしめてあげられない自分に、そんなこと以上に許せないのは、彼女を壊し崩した自分だ。
 

「ごめん……」

 今更謝った所で、彼女が元に戻らない事を俺は知っている。なのに、俺は「ごめん」を止めなかった。彼女が狂乱しているというのに、ただ見ているだけしか出来ない。勝手に流れ始める映画を鑑賞する様に。何度も何度も瞬きをしたら、軈て映画は終わっていた。
 彼女の身体から吹き出した真っ赤な液体は、俺が握っている尖った凶器にも付着して、手から滑り落ちた頃には、俺の腹部から足先まで染まり、黒く変色していた。震えが止まらないのに、身体は言う事を聞かなくて、靴底は何かで地面に縫い込まれていた。頭の中で、誰かが俺に尋ねて来る。同じ質問を幾度も。

 
 獣の様な呻き声が部屋に響く。
 それが——自分の喉から出て来た言葉だと理解するには、かなりの時間を要したのだろう。漸く全てを解った時にはもう、身体は冷えて固まっていた。





 明るい話を書くと言っていたのに、まさかのまさかで暗い話に。おや?
 これも書いていた時に、気分が重くなりました……。なら書かなければ良いのに、ですよね。はい、私もそう思いました。でも書きました。今度こそ、今度こそは明るい話を……書きたい!