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- Re: 星屑チョコレート【短編集】 ( No.35 )
- 日時: 2015/07/02 18:04
- 名前: 蒼 ◆udrqXHSxjI (ID: A9wxTbZM)
【 笑って、太陽 】
どうしたの? そんな暗い顔をして。君らしくないね。ほら、何時もの笑顔は何処行った! ……ごめん、嫌だよね。最近可笑しいや、私。変な奴? こら、そうだけど言うな。傷付くでしょ。あ、君の好きなお菓子、買って来たよ。病院内だけ周れる様になったんだ。車椅子だけどね。売店があったからさ、見てみたら売っていたの。これ食べて元気出して。私は君の笑顔が大好きだから。美味しい? それは良かった。買って来た甲斐があるよ。……それで、何で泣いていたの? いや、泣きかけていたの? えっ、病気が悪くなった? そうか……。でもさ、今直ぐ手術しないといけないとか、そういう事ではないんだよね。なら、もっと笑っていてよ。どんな時でも、君が笑っていたら嬉しい気持ちになる。少なくとも私は。ねっ、笑って? 何、照れてるの。恥ずかしいのかぁ、ふーん。あはは、ごめんね。意地悪しちゃった。これからも、笑顔を忘れずに生きてね。君の笑顔は、優しくて癒されるんだから。
——たとえ、君の隣に私が。
*
嫌だな、悲しそうな顔しないでよ。こっちまで悲しくなるじゃない。違う、謝って欲しいんじゃないんだ。ごめんね。本当はさ、もっと早くに教えていれば良かったのに、言えなくて。君が笑っていられなくなっちゃうかな、って。……嘘。私が笑っていられないからだよね。これ、君にあげたお菓子。この前見つけたの。最後になると思うし、沢山買ったんだけど、殆ど残っていないや。夜こっそり食べちゃった。太っちゃう。もう好きじゃない? そう。でもあげる。何、泣いているの。泣いていない? はは、意地っ張りな所、ちっとも変っていない。もっと君と話していたいのに、身体は無理みたいだ。何度も言われて聞き飽きていたら、ごめん。でも聞いて。私は君の笑顔が大好き。泣きたい日もあるだろうし、ずっと笑ってはいられない。そんな未来が来てしまっても、忘れないで。君は独りじゃないよ。私がいるから。頼りにならない私を信じて。
——たとえ、私の隣に君が。
*
書いていて「私」は「君」より数歳年上なのかなー、と思いました。目線が姉ですね。この話の元になったのは『 明日、夕陽を攫って。 』という未公開長編作品です。【 笑って、太陽 】では女の子(私)が男の子(君)を慰める感じですが、元は逆でした。未公開作品を短編に回すのも良いですね。