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Re: 星屑チョコレート【短編集】 ( No.36 )
日時: 2015/04/14 22:45
名前: 蒼 ◆udrqXHSxjI (ID: A9wxTbZM)

【 幸せ恋心 】


「……怠」
「怠過ぎる。何気に暑いし」
「ねー、同意」


 夏でもないのに蒸し暑い放課後の教室。そんな場所で、疲れ果て顔を伏せている男が3人いた。1人は俺で、もう2人はクラスメイトだ。癖のある薄茶色の髪をしているのが、蓮(れん)。欠伸をして少し大きめのジャージを着ているのは、満(みちる)という。今、この教室に女子生徒か女教師が入って来たら、多分、ホラー映画でも見たかの様に、声にならぬ悲鳴を上げて逃げて行くだろう。猛スピードで。そう思えるくらい、俺等の顔、身体は色々危ない。他人だったのなら、絶対に不審者と見間違えるよ。だが、こんな状態にしたのは、紛れもなくあの担任だ。面倒臭がりも良い所。蓮は大丈夫かも知れないが、俺と満はどう見たって体力も筋力も期待出来ない。それなのに「教室に残っていたから」との理由で、力仕事を手伝わすのは良くないと思う。特に俺は、まだ風邪が治ったばかりなのだから。熱で寝込んだら、あの男(担任)の所為にしよう。絶対する。


「あれ、まだ残るの?」


 首を傾げて何かを見る蓮。釣られて俺も見てみると、考え込んでいる満が映る。どうしたんだろ、こういう満って結構レアだけど。写真を撮ろうか迷っていたら、満が肘を付きながら口を開いた。


「やー。明日、要(かなめ)達にどんな惨い仕打ちをしようかな、って」
「想像するな」
 
 全く、最近あいつ等の扱いが酷くなっている気がしてならない。かわいそうだろ、そういう事したら。主に要がさ。溜息を吐き、蓮と一緒に帰る準備を始める。もう付き合っていられない。このままだと弄る方法を考えさせられるだろうし。教室のドアに向かって歩こうと足を前に出した時、襟元を後ろから引っ張られた。……またか。

「大した用じゃないなら帰る」
「うわぁ、悲しいなー。もっとお喋りしよう、ね? 蓮は強制参加だから拒否権ないよ。残念」

 ある意味怖い笑顔を見せて、握る手に力を入れる。痛い。どれだけ嫌そうな顔を作っても、満は離さない。そういう奴だ。友達になる時から解っているので、別に良いけど。


「……で、今日は何の話が聞きたいの」

 後ろ向きに座り、嬉しそうに笑っている天使に化けた悪魔に問う。その答えは毎回決まっているが、一応念の為。


「飛鳥(あすか)には、先輩と。蓮は彼女さんとの馴れ初め話を聞きたいなー。良いんでしょ」

 
 何時の間にか蓮と俺は、満の机に集まって、自分の椅子を持って来ていた。あぁ、何故か結局こうなるんだよな。厭きずに聞いていられる満自身も変。というか、俺と先輩は付き合っている訳では……。この辺で止めておこう、最終的には言わされる事になる。蓮の大好きな彼女さんとの出会い話を聞きながら、思った。


 こういう日々がずっと続けば良いのに——と。





 もう見た方は解ると思います。【 それを人は愛と呼ぶ。 】の蓮。【 友情スキャンダル 】の飛鳥と【 友と呼ばれるまでも無い。 】に出て来る満です。こういうコラボ? みたいな感じも大好き。思い付いたら、また色々な人をコラボさせたい……。