コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 星屑チョコレート【短編集】 ( No.43 )
日時: 2015/05/16 23:51
名前: 蒼 ◆udrqXHSxjI (ID: A9wxTbZM)

【 昨日も今日も明日も僕は。 】


 揺れ動く景色。
 先を行く人影。
 掴めない夕虹。


——きっと貴方は、何も憶えていないのでしょう。だけど、それでも私は良いの。雲の上に散らばる星へ向かって、今日も願いを込める。真っ直ぐな光を跳ね返す強さ何て、持ち合わせていないから。
 貴方が何時か大人になって、沢山の人々と道を重ね、思い出が山を越え、海を越えて見付けられなかったとしても。誰も貴方を責めはしない。自由に両手を広げて飛んで行って。そうしたら、私も自分だけの世界に閉じこもる。安心して、届かないと解っている事は、追わない主義なの。咲き終えた花って、儚く散るものでしょ? 止める権利は、どんなに偉いお方ですら無いんです。呆れちゃう。未練がましくて、ごめんね。

 手を伸ばしたら握れる距離。少し照れ臭くて、優しい居場所。随分古い物語だけど、私は好きだった。人は、長時間同じ思いを抱いていると、時々それが『当たり前』に感じてしまう事がある。そんな『当たり前』が、永遠に続く何て、夢見がちも良い所。触れられない気持ちがずっと、行ったり来たりしているんだ。貴方はどうなのかな、進めている? 言葉に出来ない感情で支配されて、胸が苦しいよ。
 私にも未来が存在する。当たり前に、ね。貴方にだってあるはず。それぞれ別々の道を歩む。想像するだけでも、締め付けられて痛い。痛いよ。聞こえている? 叫びたい、伝えたい、貴方に向かって。どうか、教えてください。世界に1人だけじゃ、生きて行けない。貴方と一緒なら、何処へだって付いて行けるのに、寂しい。冷たくて、笑顔になれないんだ。貴方が唯一褒めてくれた、私の特長なのに。嫌、嫌だ。変わりたくない、変わって欲しくない。どれだけ時が流れても、どれだけ離れてしまっても。貴方の記憶に残っていなかったとしても、だよ。誰と何をしていたって、忘れない。忘れられないの、貴方が。だからといって、別に責任を押し付ける気はない。その代り、時々で良いから描かせて。繋がらない糸を絡ませ、包み込む。消えない様、飛ばない様。

 矛盾だらけの感情が、何時の日にか色褪せて、白になった時は。どうしたら、正解何でしょう。無くしましょうか、破りましょうか。幾つ花が咲いていても、足りないよ。足らないんだって、私には。
 晴れ模様の午前中、今なら貴方に逢えるかな。此処でなら届けられる? 遅過ぎたと理解してる。馬鹿な女のつもりはないよ。残念ながら。洗剤を使い込んで、落とし忘れた染みを擦った。泡立っても、汚れは消えません。袖には拭った跡が、泥が付着したら、どうしよう。明日を失うのが怖くて、下を見ているよ。かわいそうだと思ったら、助けてくれても良い。引っ張り出して、進むべき道へ。貴方の心にある、無数の愛で。優しいだけの偽りは要らない。求めているのは、眩しい光じゃないの。解って、応えて。連れて行けないんだったら、蓋をしておいてね。私が望むモノは、私にも解らないから。置いて行かないで、壊さないで。崩れかけた胸は、はち切れそうで哭いている。


「お久しぶり、だよね?」


 絡まって、解けなくなった指先が、貴方を待っています。ゆっくりと慎重に、結び直してくれませんか。矛盾ばかりの感情は、操られる事を知らないみたいですから。




 
 女の子目線で書いてみました。
 徐々に薄れて行く記憶と、積もって崩れる感情の中で悶える、小さなお話。こういう控えめで一途系は、初めて書いた気がします。恋って矛盾だらけだと思うのは、私だけでしょうかね(汗)。