コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 星屑チョコレート【短編集】 ( No.50 )
- 日時: 2015/05/06 18:02
- 名前: 蒼 ◆udrqXHSxjI (ID: A9wxTbZM)
【 代役メモリー 】
※残酷end
頬に血の跡が残る君は、僕を「お姉ちゃん」と呼んだ。残念だけど、僕は君の『お姉ちゃん』ではないんだな。でも悲しませるのも嫌だから、その質問には答えず「どうかしたの?」と問う。我ながら酷い事言うよ、僕は。目の前に広がる光景で、全て解るというのに。あー、君に頼られている感じがして、調子に乗っちゃったかも。虚ろな目で見上げる君が指差した方へ目を向ける。成程、確かにコレは無残だ。瞳を凝らすと、灰色の煙で見え難くなったかわいそうな車の下に、誰かが横たわっている気がした。砂利や飛び散った紅い飛沫で、近寄らなければ顔が判らない。仕方ないな。待っている様に言い、石を蹴飛ばしながら歩く。うわわ、結構遠いのに変色しているよ。凄いなぁ。
しゃがみ込んで顔を見る。衝突の所為で傷が多々目立つが、元のパーツは綺麗に整っている。素敵な人だったのだろう。あれ、煙たくて瞬きしていたけど、この人まだ息している? 口が動いた様な。もう1度良く見たら、やっぱり開けたり閉じたりしていた。今なら助かるかな、周りを見渡すけど、君以外誰もいないや。携帯で救急車を呼ぶ方法もある。それは面倒臭いしね。はあ、疲れるのに。白色の清楚なシャツと控えめな黒色スカート。僕には合わない。悲しいよ。ん? 悲しいはずなのに、笑っちゃう僕は可笑しいかな。変? どうでもいいか。
女の人の身体を跨がり、片手だけでも余裕のある首に両手を回す。え、食べ物通るの、細過ぎだし。驚いたけどさ、これで楽にしてあげられるなら、関係無いよね。ちょっと力を強めるだけで、その人は苦しそうに藻掻いた。いや、藻掻こうとしたのかな。痛ましい身体を無理に動かすんだ。辛いなら止めれば良いのに、それが出来ないのか。呆れるけど嬉しい。抵抗とか、嘆いてみせて。声が出ないんだとしても、頑張ってさぁ。——動きが止まった。もっと耐えてくれたら、面白かったと思うんだけど。まっ、許してあげよう。この人が眠ってくれたお蔭で、僕が『お姉ちゃん』になれたんだもの。
ねえ、神様。こんなに楽しい事は他にないよ。これを何と呼べば良い?
*
本当の愛を知らない彼女の話。
この作品を書きながら、愛って何なのかを考えました。人間に備わっている感情は、時に要らないと感じる事もありますが、必要なものだと思います。愛とか絆があるのは、自身の道から外れない為かな、と私は。
コメディー・ライトなのに、明るくなくてごめんなさい!!