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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 星屑チョコレート【短編集】7/23更新 ( No.62 )
- 日時: 2015/07/23 08:08
- 名前: 蒼 ◆udrqXHSxjI (ID: A9wxTbZM)
【 さようならも言えない。 】
校舎裏で揺らめく木々が、自分を嘲笑っている気がして、何だか怖くなった。どうやら立ち竦んでしまった様で、逃げられない。そのまま恐怖の渦に呑み込まれてしまえ、君が嗤っている。私の前に、冷たく。別人になった君の瞳、感情のない人形みたいで突き刺さっては苦しい。私が? 私がしてしまったの? 君をそんな風に、こんな風に。
——先輩、僕の事どう思っていますか。
不意に思い出したのは、照れながら訊いて来る君の横顔。桜色に染まっていて、綺麗だと思ったのも。視界が潤んで歪む。
好きだよ。絞り出した声は嗄れて、裏返った。解り切った事なのに、あの日からずっと言えなかったんだ。私には難しくて、簡単には口に出せないものだから。でも、1度出したら止まらなくて、喉が痛くなるまで叫んだ。戻って来て欲しいからかな。今更遅いのに。大声を出して頭が痛くなって来た。座ろうとしたはずが、痛過ぎて地面に倒れてしまう。好き、好きだよ、ねえ気付いて、気付いてよ。声にならない思いが胸に残って縛る。私は明日も、2度と触れられない相手を愛している。それはきっと、交差するまで。
*
“伝えないといけない日”に伝えられなかった少女。
何時までも相手が自分に恋してくれるかは分かりません。他の人を好きになるかも知れないし、思いが冷めてしまうかも……と、想像して考えました。
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