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Re: 文才が切実に欲しい《短編集》 ( No.10 )
日時: 2015/11/03 10:05
名前: 未来 (ID: 1aSbdoxj)


 「俺は、お前のことが好きだ。恋愛的な意味で」

 「……は…?」

 「っだから!好きだって言ってんだよ!お前のことが!!」

 苛立ちを隠さず大声で告げた斉藤も、告げられた言葉の内容も、理解するのが難しい。

 いや、理解したくなかったのかもしれない。

 今の私は絶対アホ面だという自信がある。開いた口が塞がらないのだから。



 「…………え、えっと」

 「…………」

 周囲を見渡しても誰もいない。

 よってこれは私に向けて言ったということなのか。

 好き。すき。スキ。

 脳内で変換されていく好きという言葉。

 …私の言語能力が退化していっている気がする。



 「………それは友情的なやつ」

 「ちげぇよ恋愛的な意味でだ何度も言わせんじゃねぇよ」

 私が言う事は予め予測されていたというのか。

 即座に被せるように言い放った斉藤は更に不機嫌そうに眉を寄せた。



 「……言う相手を間違えてない?私は前原由美なんだけど」

 「…………」

 じゃあこれならどうだ。と内心呟きながら告げた言葉に斉藤は目を見開いて沈黙した。

 正直言う相手を間違えるってあるかと自問してみた。

 斉藤は視力は悪くないだろうから、私を別の人と見間違えたなんてことはないと思うけれど……けれど、現在沈黙中の斉藤を見て、そんなこともありえるのかもしれないと思い始めた。





 てんで的外れな憶測に自信を持ってしまった由美は、お前はアホなんだなと、自分が言われてもおかしくないことを平然と敦に言った。脳内で。

 「……まさか…そんな返され方されるとは、思ってなかった…」

 はあぁ〜と思いきり息を吐き出しながら脱力してしゃがみこんだ敦に、由美は戸惑う他なかった。


























 鈍感もここまできたらある意味尊敬する。

 敦の心はこれに尽きた。