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- Re: A quirk of fate〜運命の悪戯、君に届けたい〜 ( No.20 )
- 日時: 2015/10/24 17:41
- 名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: KLpo2fZJ)
9day —— in the night ——Someone side
「主よ……、パーティーへ行く準備が整いましたが」
主人の部屋を開けると、主人は怪しく笑っていた。
どうされたのだろうかと尋ねようとしたが、先に主人がその意味をおっしゃってしまっていた。
「パーティー。ふふ……あのロマンチストを一目ぼれさせたという女子(おなご)はきっと美しいのであろうなぁ」
「そのように聞いていませんが……、面白い方だとハースター伯爵様がおっしゃっていましたよ」
主人のコバルトブルーの瞳が妖々しく光ったのを、俺は見逃さなかった。
彼は、面白い、退屈しないことが好きなのだ。だからこのことを聞き逃さず、噂の女性にますます関心を持ったことだろう。
「ほぉ……あの堅物が。それはなんとも不思議なこともあるんだな」
顎に手を添え、何かを考えるしぐさをした。
その間に俺は、背広を着させ、ネクタイを正してやる。
「……はい。では、お楽しんで」
彼を馬車にのせ、使いの者に指示させ、馬車の姿が見えなくなるまで見送る。
「……イェリネック 、主はとても興味を持たれたようね」
メイドが一人、彼に近づいて言った。
とてもグラマーな体型をしており、箒をもっているが、谷間に箒が挟まっていてその姿がまた胸を強調させていた。
「……ああ。ハースター伯爵様がなんせ面白いとおっしゃっているのだからな」
彼は彼女の姿を認めると、微笑んで抱きしめる。
使いの者同士で恋愛関係は認められないこの世界において彼らの関係は特別であった。
「あの堅物として有名な伯爵が……。ふふっ、これは面白いことになりそうね」
彼女は、彼の焼けた頬に手を添えると、微笑み返す。
「そうだな……」
それを性的な意味で受け取った彼は、彼女のうるんだ唇にキスを落としていた——
「ふふ……あのものか」
また彼らの主人である彼も、お目当ての女性を見つけ、不敵に笑っていたのである。
そう、この出会いが彼の価値観を変えるものだとは知らずに麗に近づいて話しかけたのであった——