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- Re: A quirk of fate〜運命の悪戯、君に届けたい〜 ( No.22 )
- 日時: 2015/11/08 17:04
- 名前: ・ス・ス・ス{ ◆93nWkRSozk (ID: KLpo2fZJ)
>>21
採点ありがとうございました。
またいつか、お願いしようと思いますのでよろしくお願いします。
——ここから本編です。
9day —— in the night ——
「そろそろ、行きますか」
ショウ様が、ドアのそばで私に右手を伸ばして言う。
したたかな微笑みは大人の余裕を醸し出して、正装の彼は一段と華やかなものである。
「はい……」
ドレスの端をつまんで裾を持ち上げてパーティー会場へと向かった。
『今回の主役は、あのブリリアント第一皇子が気に入られた方なんですって』
『へぇ……それはどんな方なんでしょう?』
そんな話声は俺の期待をさらに高めた。
心高ぶっていると、誰かが話しかけてくる。
「ヴォルケンシュタイン子爵」
後ろから声を掛けられ、少し驚きながらも振り向いて応答した。
「これはこれは……サイト第二皇子。このたびはどうもお招きありがとうございます」
小柄なその方は、この王国で有名な慕われている方の弟君である。
しかし、その美しい容姿に騙されてはいけない。兄とは違い、気に入らない人にはわがままで意地悪な皇子である。
「ヴォルケンシュタイン子爵にはどうしても知ってほしい方がいましてね……」
腕を後ろで組みながら言った。こういう動作をするときは、自慢したいなどのそんな気持ちの時だ。それほど、素晴らしいのだろうか、彼女は。
「なるほど。それはますます、ご紹介していただきたい」
そんな会話を交わしていると、ファンファーレが鳴った。
今夜の主役がこの会場に入る知らせだ。
『……第一皇太子様のおなり』
会場内に大きく響き渡ると、向こうの先から華やかな人達が現れた。
『わぁ……素敵……。ブリリアント様は相変わらずね……』
女性陣の黄色い声が盛んに飛ぶが、その隣に恥ずかしそうにうつむいて歩いている女性……についても好評であった。
「……そろそろ僕は、兄様のところに行かないと。それでは、お楽しみください、子爵殿」
と言って小柄な悪魔は愛する兄の元にいった。
その声を片端に聞き取りながら俺は、彼女に遠目であるが、見とれていた——
「……大丈夫ですか、麗様」
麗様は、たくさんの人に先ほどご挨拶をされてとても疲れていらっしゃるようだ。壁に寄せてあった椅子の背もたれに寄りかかっていた。
「ええ、大丈夫よ……、そんな心配しなくても私は大丈夫だから。それに私の世話ばかりしていたらパーティー、楽しめないわよ?」
心配してくれるのは嬉しいんだけど……、そんなことをしていたら折角のパーティーが私のせいで楽しめないじゃないかって思う。
「……いいんですよ。私は麗様専属の護衛なのですから」
そうにこやかに笑って言う彼は、やはり優しい人で。
でもその優しさを断ることはできない。なぜなら、せっかく好意をもってしてくれていることなのに、それを断ったら気を悪くさせてしまいそうで怖いからだ。
「……そう、ありがとう、タク」
微笑んで彼に礼を言うと、彼も微笑み返す。
そんな会話を交わしていると、タクは、急ぎの用ができたようで、すいません、すぐ戻りますと眉を曲げながら去っていった。
暇を持て余してパーティー会場をさまよっていると、どなたかに声をかけられた。
その方は、貴族のようであった。容姿端麗で身長もたかい。
なぜ、この世界で会う方たちはみんなそろいもそろって美形なのであろうか。
「……麗様でしたかな?」
あまりにも美しい顔立ちなので私は見惚れていた。しばらく間が空いてしまって焦りながらも返事をする。
「……はい、そうですが……、貴方様は?」
「すいません、申し遅れました。ヴォルケンシュタイン家当主ヴェルンハルトと申します。以後、お見知りおきを」
私の前でひざまついて私の右手の甲に唇を落として挨拶する。
なんて紳士なのだろうかと思いながらまたもや見とれていた——