コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: A quirk of fate〜運命の悪戯、君に届けたい〜  ( No.6 )
日時: 2015/05/16 13:20
名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: laaGvqHD)

4day—in the morning—

私は、この世界について調べることにしたんだ。
はやく家に帰りたいからね。

「ショウ様、ここに本はありますか?」

ショウ様に声を掛けて聞く。ショウ様は今日も眩しいくらいの笑顔で

「はい、ありますよ。どうしてですか?」

そう答える。
ああ、天使様……ぁなどとバカげたことをショウ様の笑顔を目で拝んでから

「家に帰る方法を探したいんです」

そういうとショウ様は、えっというお顔をされて、ちょっと悲しそうな顔をされたのは私の見間違いだったのだろうか。
それとも妄想だったのだろうか。
現実であってほしいなと思うけど、それはありえない。
こんなブロンド色のくせッ毛で二重のちょっと小さい髪の色と同色の瞳を持っていて、平凡な体つきの私にそんなことを思うはずがないと思いなおす。

「そっか。じゃあ、僕が案内します」
ニコッと笑うショウ様。
お忙しいのに、そんなことをしてくださるとは、なんとお優しい。


「あ、ありがとうございます」

ということで案内された私。

「ここが書庫……」

やはりそこも無駄に広かった。住んでいる家が大きいと、書庫も広いのは当たり前の事らしい。

『ショウ兄さん』

館内?に響くちょっと声高な声。そこからまだ声変りが終わっていない男児だということに気付く私。

「ああ。リヒト」

本棚から出てきた私よりもちょっと大きい男の子。
ショウ様のように金髪をもち、大きなくりっとしたマリンブルーの瞳を持つ可愛らしい男の子。
ショタコンでない私もキュンとして萌えを感じるほどに可愛い。ショウ様を小さくしたバージョンって感じ。

「兄さん。そちらの女性は誰ですか?」

トコトコと可愛い生き物は、私たちの方に近づき、私をその殺人兵器で見る。
いやだ、こっちみないでぇ……、こ、これいじょうはっ。
は、鼻血が……、でる!!

そうなのだ。私は、綺麗な物、可愛い物を過度に見過ぎると、鼻血が出るという変質な体質を持っている。
なんとか心を落ち着かせなければっ、そ、そうだ。
いつも欠かせずにやっているお経を唱えよう。
欠かさずに毎日、やっているためかもう暗唱できる。

『南無妙法蓮華経……』

心の中で小さく唱え始める。ふぅ……なんとか、おさまったぜ。
そんな私の変人的な顔を見つめていたらしい小さき王子様は、眉間にしわを寄せている。

「ああ、リヒトは初対面だったね。この人は異世界からきた更科麗さんだよ。麗さん、こちらは僕の弟、第二皇子サイト=カルバーク=リヒトです」

ショウ様がていねいに紹介してくれました。なるほど弟君でしたか。
どうりでとても似ている訳で。

「初めまして、リヒト様。私は更科麗です、ご厄介になっています」

私の自己紹介を聞いて目を見開く。

「あ、あなた……、僕をリヒトと呼んだな……」

なんだか地雷を踏んでしまったようです。かなりご立腹のようで。
でもなんでだろう。ただ名前を呼んだだけなのに。コンプレックスか何かかな?

「麗さん、王族をサードネームでは呼んではいけないのです。
呼んでしまうと、その方は謀反を企てていると疑われて処刑されてしまいますよ?」

ショウ様が困った風に笑って教えてくれる。なんて怖い決まりなんだ。
たかが、サードネームで呼んだだけなのに処刑って厳しい。


「サードネームは王族にしかつけられていません。これを呼べるのは王族との血縁関係などに当たる関係者のみ。
またミドルネームはわが国では、苗字となっています。
つまり僕の場合、カルバーク家ということになりますね。
そして、最後のファーストネームは国民に呼ばれる通称になっています。
だからあなた方は、僕らをファーストネームでしか呼べません」

私があんぐり口を大きく開けているのを見かねていう。
なるほど、そういう決まりだったんだ。かなりこだわっているのだなと実感。

「そうとは知らず、すいません、サイト様」

深くお詫びしなければ、処刑されてしまうんだな。

「まぁ、いい。今回は許してあげよう」

なんか思っていたんだけれど性格変わってないか、この人。
お兄ちゃんの前では結構ネコナデのような声で優しいそうな感じでしたが、今では俺様モードというかそんな感じがしますのは気のせいですかな?

「ところで、書庫に何の用ですか?」

サイト様が聞いてくる。そうだった、この国の事を調べ、脱出方法を知るんだった。

「そうそう……」

私は、この国についての本をたくさん読んだ。
なるほどね、だからこの国の人と、言葉が通じることも分かった。

Re: A quirk of fate〜運命の悪戯、君に届けたい〜  ( No.7 )
日時: 2015/05/16 11:47
名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: laaGvqHD)

4day —in the afternoon—

 どうやら私の前に私と同じような女性がここに来たようだった。
その女性は今の国王の母、野々原楓女王陛下。
彼女は、とても頭がよく、この国に、私たちの言葉、日本語を伝えた。
その時の王様は、熱心に子供たちに日本語を教える彼女を気に入り、自分の妃に迎えた。
異世界の妃というのは前代未聞で多くの大臣に反対されたが、彼女の優しさで助かっている国民も多く、多くの国民に支援された。
そしてその時の国王もたいそう日本語を気に入り、この国の言語として定めたという。

「なるほどね……」

楓さんは、もう現在はなくなっているんだそう。
楓さんも私と同じような年齢でここにきて、何も知らない土地で言語を広めたのね。

「何かわかりましたか?」

ショウ様が私のつぶやきに気付き、言う。

「楓女王陛下は、私と同じようにここに来たそうですね」

前例があるならば、私と同じようにここに来る人もまたいるだろう。
私は、ここと私が住んでいた世界とのつながりを調べて、その人のために役立てたい。
楓女王が私のために否、楓女王も私と同じように思って、自分の後からここに来る人のために言語を通じるようにしたのならば……、

私も何かその人にしたい。

私もここに来たということは、運命がそうしているならば……、

何か、何かやらなければいけない。自分だけが帰るのではなく、また遠い未来でここにきてしまう人に。

その人が困らないようにしてあげたい。


『……あの、私に書庫を……、私がここの世界にいる間、この書庫を貸してください』

調べたい。その一心でダメもとで聞いてみた。
何の特技も特徴も持たない私かも知れないけど、ここでなら、きっと役立てるって感じてる。
楓女王みたいになりたい。楓女王を完全に模倣するのは無理だとしても、
私、頑張りたい。

夢中になれることだと思ったから。


「……」

ショウ様はしばらく私を見て、微笑む。

「いいですよ。存分に調べてください。
ですが……、まずあなたの存在を国民全員に知らせないといけませんね」


はい?
なぜ私が国民全員に知られないといけないんでしょうか。

「……国民全員に知られることであなたを助けてくれるかもしれませんよ?楓女王みたいに」

なるほど。私の顔を知っていると助けてくれるかもしれないと。
そういえば、この国の人は、親切心、優しさがあふれていることが分かっている。
本をたくさん読むと、そのような例がたくさん載っていた。


「分かりました。そのためには私は何をすればいいのでしょう?」

ショウ様は衝撃な言葉を口にする。


『僕と結婚してください』